舟木一夫特別公演
『 新歌舞伎座公演 』 を振り返る 〔4〕
芸能生活35周年記念
『 坊ちゃん奉行 』
1997 (平成9).2.1~2.25


作: 小野田 勇
脚本・演出: 中川 寿夫
主な配役
夏目 大二郎: 舟木 一夫
萩 乃 : 葉山 葉子
一乃矢帯刀 : 山下 規介
青江 千之助: 小島 秀哉
神倉 数馬 : 竜 小太郎
荒木 又十郎: 藤堂 新二
おえん : 土田 早苗
清 : 庄司 歌江

【あらすじ】
四国伊予浜藩に、新任の勘定奉行役として
江戸家老の子息の次男坊、夏目大二郎が、
着任することになった。
若君ご学友の縁で、政事に黒い霧が掛かっ
ている伊予浜藩の大掃除を命じられたので
ある。晩秋の昼下がり、御用船に付き添うの
は、ばあやの清。 浜での出迎えには、長崎
留学から帰国する神倉数馬を待っている、伊
予浜藩一の深窓の美女で城代家老の息女・
萩乃。 勝手放題の重役たちを、度胸一番
やっつけるか、と意気込む大二郎には、江戸
の芸者・おえんが近づいて来ている。
刺客たちが大二郎と間違えて数馬に切りかか
るが、大二郎は瞬時の早業で数馬を救う。

城中では、重役一同が手ぐすね引いて大二郎を
待っていたが、 遠慮がちなのは、 主家の一族で
ある次席家老・一乃矢帯刀。 家中勘定方・青江
千之助に ”うらなり”などと仇名をつけて笑う大二
郎に、重役たちはしつこく屈服を迫る。 業を煮や
した大二郎は、”自由勝手たるべし”のお墨付きを
取り出して重役たちを平伏させる。 そして、お口
直しの江戸前の御挨拶と「かっぽれ」を明るく踊る
← のだった。 伊予浜藩にも、藩政の乱れを糺(ただ)
そうとする「熱血党」を名乗る数人の若侍がいた。
その中で、新しい喧嘩友達ともなった荒木又十郎
には、”山嵐”の仇名をつけてやった。
巻き返しを図る重役たち絡みの事件は、坊ちゃん
奉行の周りで次々起こっていくのだろうが、、。
二幕八場の舞台は、
四国伊予浜港
~城内奥書院
~場外堀端の道
~湯の宿・いか銀離れ座敷&中庭
~雪の立廻り大乗宮境内
~四国伊予浜港
といった流れである。下の写真は、多分【雪の立廻り大乗宮境内】だと思われる。
舞台の山場や後半は想像するしかないのだが、ここで見事 ”坊ちゃん奉行 ” が
黒幕一味をやっつけ、藩政の乱れをただしてお江戸まで帰ることになるのだろう。 気になるのは萩乃さんとのことであるが、伊予浜港から、無事出航のようである。
ばあやの清も、きっと喜んで大二郎に付き添っているに違いない。

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新歌舞伎座での「坊ちゃん奉行」パンフレットは 手元にないので、あらすじなどは翌年の全国特別公演
パンフレットを参考にした。
(「坊ちゃん奉行全国特別公演」
平成10年9月28日~910月28日)

新歌舞伎座とはキャストも変わり、
ばあやの清は浅香光代さん、荒木 又十郎
には昨年9月、今年2月と舟木さんの舞台に
ご出演の大門正明さん。 葉山さんや土田
さんは出演されていない。
平成10年9.28~10.28のスケジュール

10日間、ほぼ一日2公演でこんな移動日も・・・
神戸~高知~愛媛~徳島~滋賀~長野~新潟~静岡


全国公演でばあやの清を演じられた浅香光代さんは、ヒット・
パレードのほうでも舞で花を添えて下さったようだ。
伊予浜藩一乃矢家の主人(あるじ)となった病弱の若君に代わり、
ご学友のよしみで勘定奉行役として赴任した夏目大二郎。
部屋住みとはいえ、江戸家老の子息が国許の奉行に着任す
る突飛な人事。 しかし、江戸住まいの若侍にはたとえ着流し
といえど、立ち姿、佇まいに品格が漂う。 いつまでもばあやの
清が付き添っていても、新歌舞伎座だけでなく全国の皆さんが
目にした ” 坊ちゃん奉行 ” の殺陣の瞬時の早業・・・拝見したかったと、今更に残念である。