シアターコンサート・千秋楽
昼の部より ~ 4 ~
千秋楽シアターコンサートのラスト3曲は
♪ 遙かなる草原 (昭和47年1月発売)
♪ 麦笛 (昭和47年3月発売)
♪ 少年いろの空 (昭和48年4月発売)
木枯らし吹く遙かな草原を、孤独を友にひとり歩いていた旅人。
レコードジャケットの笑顔にさえ、どこか陰りと痛ましさが見える青年だった。
しかし、いまや強靭な力を秘めた豊かな歌声を身につけ、素朴な麦笛でさえ
深々とした響きで吹き鳴らす。
舟木さんは、その表情豊かな麦笛を吹き渡る風に乗せ、少年のこころのような、
どこまでも爽やかな蒼い空に吸い込ませていった。
♪ 麦 笛
作詞: ちあき哲也
作曲: 宇崎 竜童
♪ さようなら かなしいまち
季節さえ わすれたまち
わらわないで 花のような
しあわせを 街にさがしたこと
明日の朝は ふるさとの小径を
風にそよぐ麦笛 鳴らしながら
たどるでしょう 足もかるく http://youtu.be/NKiJgpILv2g
あたたかい人の 群れのなかへ
ふるさとは花も ほころび咲く頃よ
風にそよぐ麦笛 鳴らしながら
帰りましょう あしたこそ
あたたかい人の 群れのなかへ・・・
当時、 あたたかい人の群れのなかへ帰ることを切に切に望んでいたのは、
この曲を歌っていたご本人に他ならなかっただろう。
数十年の旅路ののち、、、、。
深く、力強く、しかし あくまで柔らかく届いてくる舟木さんの歌声。
竜童さんとも思えぬ優しいメロディに、たっぷりと心地よく浸らせて頂いた。
舟木さんの旅路に ”痛ましい”ことなんか何もない。
何もかもが、”愛おしい”だけである。
♪ 少年色の空
作詞: 井口 愛
作曲: 田村 博正
♪ その眼はむかし 空だった
悲しいときには 素直に泣けた
きらきら 蒼い空だった
その眼はむかし 海だった
愛する心が 静かに揺れた
セロファン色の 海だった
いつからか 泣くことも ルル
いつからか 笑うことも http://youtu.be/UaA7QIaV2gE
歯車 みたいな 毎日の
カレンダーのなかに わすれたの
その眼はむかし 風だった
~ ~ ~ ~
少年いろの夢だった ルル・・・・・少年いろの夢だった 少年いろの夢だった
コンサートファイナル2009 7曲メドレーのなかで、初めて耳にした
この曲。 ”セロファン色”という言葉がいつまでも頭に残った。
舟木さんに、まるで少年の世界にいるような若さを感じた。
その上、こんなニューミュージック系の曲を歌ってさえ漂って来る舟木さん
の品のよさ・・・なぜ、65歳の歌い手が、こんなふうに歌えるのだろう。
舟木さんへ転がるように傾倒していくのは、もう時間の問題だった。
アンコール
♪ 宝福寺にて
舟木ワールドに彷徨い込むうち、コアなファンの間で「宝福寺にて」
という長い曲が、大層好まれていることを知った。
いつかお聴きしたいと思っているうち、後援会主催のコンサートで、
ついに出会うことができ、DVDを購入した。
(ー風 アダルトにー 2010・11・3 東京メルパルクホール)
作詞・曲: 三浦 久
♪ くすの木の梢をわたって
気持ちのいい風が吹いてきます
彼岸花が散っています
秋ももうだいぶ深まりました
あれから長い時が経ちました
あなたはもうお嫁にいったのでしょうか
あれほど苦しかったあなたとの別れも
今は心静かに思っています
人も草も風も、時もそして愛も
すべてのものが流れています
そしてそこには何の意味もなく
ただ果てのない流れがあるだけです
ぼくは今、一人、旅に出て
雪舟が住んでいたというお寺にきています
ここにこうして座っていると
すべてのものが流れているのがわかります
その流れのなかで人は生まれ
愛し、憎み そして死んでいくのです
そしてそこには何の意味もなく
ただ果てのない流れがあるだけです
~~~~~~~~ (repeat)
~~~~~~~~ (repeat)
(参考)
三浦久公認サイト
三浦久ぼくが出会った人出会った歌(長野ジャーナル)
ここには、三浦氏が「宝福寺にて」を完成されるまでのいきさつ、歌詞、
舟木さんがNHKの「ビッグショー」でこの曲を歌われたときのことなどが
記載されている。
このときの三浦氏の感想が記されてないのが残念である。
なぜこの曲がこれほどまでに舟木さんの心を捉え、多くの方に求めら
れるのだろう。
禅宗のお寺「宝福寺」で三浦氏が思うことは、
” 草も風も時も愛もすべては流れているけれど、そこには何の意味もなく
ただ、果てのない流れがあるだけ ” ということなのだろう。
しかし、その前の歌詞に
” あれほど苦しかったあなたとの別れ ” というフレーズがある。
この曲は、その”あなた”に語りかけている、心静かなラブソング
でもあるのだ。
” 果てのない流れ ” に行き着くまでの、あれほどの苦しみだった
あなたとの別れ。
本当は、行き着いた雪舟の世界の底に激しい愛が流れているように思う。
その ”ただ 果てのない流れがあるだけ ” の世界を、舟木さんは雄大に、
壮大に、かつ愛をこめて繊細に、瑞々しく歌って届けてくれる。
くすの木の梢をわたってくる気持ちのいい風。
まるで頬をなでていくような爽やかな感触で、吹いていく。
この吹き渡る風の爽やかさを感じているうちに、あれほど苦しい別れ
だった ” あなた ” に、” ぼく ” は今、静かに語りかけている。
そして、”ただ果てのない流れがあるだけ”の世界観に、いつの間にか
私たちも誘い込まれ、たゆたっている。
”あなた”との別れの後手にしたこの静かな想いと、壮大な流れの世界に、
同時に誘ってくれるのは、フナキカズオ。
舟友さんによれば、三浦氏は舟木さんの「宝福寺にて」をお聴きになって、
「 さすが 舟木一夫 歌がうまい!」 と思われたそうである。
「山法師の花」
舟木さんは、三浦氏が表現されたいことを的確に、ほぼ間違いなく、
届けて下さっているに違いない。
しかし、あるいは少し違った色合いで届けて下さっているかも知れない。
ー風 アダルトにー のDVDで、歌い終わった舟木さんの、想いが一杯に
詰まった目元を見て、その想いをほんの少し話して貰いたくもなってき
ている。