銀座シネパトス④ | 満天の星Lovelyのブログ

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60周年をあれほどに輝かせながら61周年へと繋げていかれた舟木さん、本当にお見事でした!
2023年もこれからもずっと、素晴らしい夢時間を頂けますように・・・。

                        銀座シネパトス 
 
 
         デビュー50周年記念 ともに歩んだ青春の一ページ
       スクリーンで観る 舟木一夫時代を彩ったヒロインたち  
 
 
 
                                               「 仲 間 た ち 」 
 
                             昭和39年3月公開   日活作品
                   監督: 柳瀬 観
                   出演: 舟木一夫/松原智恵子/浜田光夫/藤竜也/松尾嘉代
 
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     高度経済成長期の京浜工業地帯川崎市を舞台に、懸命に生きる若者たちを描いた青春映画。
     舟木は同郷の親友(浜田光夫)が一目惚れしたバスの車掌(松原智恵子)に密かに好意を寄せ  
     ている。 舟木一夫のヒット曲も満載の青春歌謡ドラマ。
                                       (銀座シネパトス 「名画座通信第42号」より)  
 
 
 
           舟木さんの日活作品では「学園広場」に続いての2作目。                  
      ご自分では「学芸会」だの、「人寄せパンダ」だのと舟木さんは照れ隠しに言われているけれど、
      初々しさの中にはっきりと光る才能を、舟木さん映画を初めて担当する柳瀬監督は、見逃さな
            かったようである。                                          
      柳瀬監督は、舟木さんの才能を大いに評価し、この後、「北国の街」や「高原のお嬢さん」などで、 
      舟木さん主演の映画を撮り、日活俳優:舟木一夫を育てて下さった。                                                
 
      「仲間たち」はもちろん舟木さんの映画なのであるが、 お話は松原智恵子さんと浜田光夫さんの
      恋が中心の映画となる。                                              
      舟木さん、松原さん、浜田さんの3人に恋と友情が絡み、舟木さんは友情を優先させるという役。  
             舟木さんは割とあっさりと友情を優先させ、浜田さんと松原さんが恋人同士となる。  
             若者の爽やかさが身上の青春歌謡映画だから、もちろんここで修羅場にはならない。
      川崎の工場地帯で、夜空に揺れる廃油を燃やす赤い炎が、公害の源というより明日への夢を開く 
      希望の灯りであり、まだ ”美しいもの” として見られていた頃である。                                     
 
      田舎から都会に出てきた舟木さんは中華料理店で働き、餃子がお得意。 
      同郷の浜田さんは、自分の運送店を持つことを夢見るトラック運転手。                 
             松原さんは、今はもうない職業であるが、路線バスの車掌さん。              
 
                      
                                                
       今ではこんな働き方は許されないのだろうが、睡眠時間さえ削っての超過勤務の連続で、
       浜田さんはとうとう事故を起こしてしまう。                              
       この勤務が終われば、夢にまで見た自分のトラックが手に入るという日に、である。          
 
       自暴自棄になってしまう浜田さん。 
       相手を思うあまり、気持ちがすれ違っていく松原さん。 
       舟木さんは、「君は僕の恋人じゃないんだから、僕の三歩前を歩きな」 と言って、歌で傷心の
               松原さんを慰める。                                         
       挿入歌 『夜更けの街の物語』 が流れるシーンである。
       そういえば「僕の目玉に雨が降る」という歌もあった。                           
 
         舟木さんは”仕方ないや” と さほどの葛藤もなく友情を優先させたように思えたが、やっぱり
              そんなことないよね。                                        
       諦めたとはいうものの、親友の、傷心の恋人を慰めて夜更けの街を歩くのは、複雑な心情に違い 
               ない。                                                 
 
                                               
       それにしても、柳瀬監督は挿入歌の入れ方が本当にお上手だ。                     
        監督ご自身も、この点はとても苦心されたようだが、ストーリーに自然に溶け込んで、全く無理
              なく流れていく。                                           
 
 
          
        「仲間たち」の友情物語には、「もう一つの仲間の友情」が描かれている。
        事故で働けなくなり、運送店をクビになりそうな浜田さんに、同僚の仲間たちが見舞い金を集め、
           社長に交渉して現場ではなく事務所で働けるようになる話。                     
                     
        松原さんの仕事の先輩(松尾嘉代)が、母体保護のために車掌ではなく内勤で仕事が続けられる
                よう、組合で交渉して認められる話。                               
 
 
          本当は「仲間たち」の友情物語として帰結する話ではないのだが、日活の青春歌謡映画は東京
             オリンピックの頃の社会背景を、巧みにバックボーンに取り入れる。                   
         高度経済成長、集団就職、労働問題、、、「新潮45」 2月号、3月号で作家の久間十儀さんが
         考察されている通りである。                                         
 
 
            この後、翌年の昭和40年に柳瀬監督で、初の舟木さん主演映画『北国の街』が撮影される。
          舟木さんによれば、『北国の街』は「映画の主役として舟木が持つかどうかという勝負がかかって
         いた」ということである。               (夕刊フジ連載「舟木一夫の青春賛歌」第36回) 
 
                                                                                
         ともかく、柳瀬監督は以後の舟木さん主演作において、舟木さんの魅力をスクリーンに最大限に
         表現してファンを喜ばせよう、と考えて撮影して下さった。 

 
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  この「仲間たち」で舟木さんとの出会いが
  あった からこそである。                  
                  
   このとき、日活映画出演2回目の舟木さん
   は、演技においては、浜田さんや松原さんに
   お任せするのは当然であるが、日活で本当
   にいい監督との出会いがあったことの幸運が
   嬉しく思われる。                        
 
 
「仲間たち」
 
昭和38年11月発売
作詞:西沢 爽
作曲:遠藤 実