おしゃれに。男 | 満天の星Lovelyのブログ

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60周年をあれほどに輝かせながら61周年へと繋げていかれた舟木さん、本当にお見事でした!
2023年もこれからもずっと、素晴らしい夢時間を頂けますように・・・。

                       『  おしゃれに。男  』
 
                     内館牧子著
               2006.12.6  潮出版社発行
 
   「週刊朝日」のご自分のコラム(暖簾にひじ鉄)に、「舟木一夫という偶像」のタイトルで舟木さん
   のことを書いて下さった内館牧子さん。
 
   少女時代から熱烈な舟木さんファンであった内館さんは、林真理子さんを通じて舟木さんとは
   もう旧知の間柄であるし、今回の50周年記念パーティにもご招待されていた。
   舟木さんも、内館さんシナリオの大河ドラマ「毛利元就」や、他のテレビドラマにも出演されてい
   る。
 
   その内館さんと舟木さんとの対談がまとめられているのが、この本である。
 
 
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  第1章  
  逆境こそ、己を磨く ”チャンス”
 
  舟木一夫  歌手
   寒い時代を支えてくれたファンに感謝
 
  
   第1章は、この後、
    花田 勝 (若乃花)さん
    見城 徹 (幻冬舎社長)さん
    岩木山竜太(岩木山)さん     と続く。  
      第2章  夫の存在感
    第3章  伝統・文化-時代を先取る大人の
                         思考法
   第4章  男の気位、男の美学
                     
  
           対談は今から10年前の2002年、舟木さんが57歳の時。
             出版された2006年と4年の開きがあるから、雑誌連載の対談をまとめた本なのだろう。
 
              57歳の舟木さんは丁度 40周年の年で、 「 お客様と約束していた、 赤い詰襟の
           『高校三年生』の行方は如何に?」と、 3年後の還暦コンサートを、そろそろ思案されて
           いる頃のようであった。
 
         
                        第1章の最初から舟木さん登場。
           ということは、この本のトップバッターであり、しかもタイトルは ” 逆境 ” である。
           またまた、お父さんのこと、お母さんのこと、少年時代のお話からなのか?
    
            ところが、この対談で内館さんが舟木さんにお聞きしたいことは、
 
           ” 不運だったときどういう心境だったのか ”
           ” そのとき、何を考えていたのか ”
           ” なぜ復活できたのか ”                                              ということ。
 
 
            舟木さんは、どなたかの対談で
            「信じられないような幸運があって、信じられないような不運があって、それが僕の人生
            だった」 と語られたらしい。
 
            内館さんには、この言葉がたいそう印象的だったようである。
 
            これに対し、舟木さんがお話されたことを順にまとめると、
 
            「 高校三年生 」 は一過性のヒット曲か
            「 俺には歌っきゃ能がない 」
            人生の 「 第三打席 」 に立つためにしたこと
            男は 「 向かい傷 」 より 「 逃げ傷 」 が大事
            ファンに恵まれた歌手・舟木一夫                                       となっていく。
 
 
 
                              「逃げ傷が大事」といい切った人生観
 
 
          舟木さんの半生は 舟木さんご自身の著書も出版されているし、連載インタビュー記事、
          取材記事、編集者のまとめた本、最近では「徹子の部屋」などで、ファンなら大抵知っている。
 
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       「風来坊」
        1999(平成11)年8月3日発行 
        マガジンハウス
                 舟木さん54歳のとき

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                          「怪傑!!高校三年生」
       1992(平成4)年6月30日発行
       近代映画社
       舟木さん47歳のとき
 
 
      しかし内館さんが、この対談で初めて耳にして、感激した舟木さんの言葉は
 
     「僕が50歳を過ぎてからわかったことの一つは、男には『逃げ傷』が
    大事だということ。」                           
    
      「向かい傷」は結果しか残さない。
      「逃げ傷」(怖いと思って一瞬背中を向けたときにバサッとやられた傷)は、結果的にいろいろ
      なものを運んでくれる。いつまでたっても疼きやがって、後悔をずっと引きずらせる。
      一瞬だけ背中を向けたことが、その後10年の負けにつながったりする。         (P18)
 
 
       逃げないで向かって行くのが大事、という意味で「向かい傷」を沢山作れ、と普通は言われるだろう
       が、舟木さんは「逃げ傷」が大事、といわれる。
       そう語る舟木さんも凄いが、語りの中でその言葉を引き出した内館さんも偉いと思った。
 
        50歳を過ぎてわかった、といわれた舟木さんだが、「風来坊」にはそれらしき記述はなかった。
       あの「寒い時代」を乗り越えて、鮮烈な復活を遂げた後、じわじわとつかめていった心境だった
       のだろう。
 
              そして、復活に向かう中で何が一番支えになったか、と問われて、舟木さんは
 
       「舟木一夫」としては・・・「お客さま」の存在
       「上田成幸」としては・・・「どこまで耐えられるか、の確認が最低限出来て落ち着いたこと」
 
       と、きっちり分けて答えられる。
 
       この冷静な分析力と論理性が、溢れる感性を瑞々しく織り上げていく詩人の中に同居する。
       情緒を届ける人でありながら、失われない理詰めの説得力。
      
        あの十数年は、今では「愛しい時代」であり「心のふるさと」である、といわれる舟木さん。
       かつて山の頂上で見ていた景色は、谷底に落ちて何年も見ることは出来なかった。
       しかし、谷には谷の景色があり、咲く花があり、実る果実がある。
 
       舟木一夫の居場所はどこか、模索の日々は凄絶ではあっても、案外明るく過ごされていたの
       かも知れない。
       冷静に時を待ち、人生の第三打席に立つ日を見極めて、、。
 
 
       内館さんは、舟木さんが「寒い時代」の澱を全くつけずに復活したことに驚き、、哀感と清冽な
       雰囲気が漂う風貌からは想像もつかない「骨っぽい男」であると、対談後に綴っておられる。
       そして「逃げ傷が大事」といい切った人生観に、舟木一夫の「男」が香っている、と、、。
 
       
       舟木さんのシルエットになった背中に漂う、えもいわれぬ ”愁い”、 ”男” 、 ”少年” 、  
       それらをひっくるめた ”愛しさ” が、名だたる熟女も、無名の熟女も、心を捉えて離さない。
 
       ぶれることのない舟木さんは、今でも背中の「逃げ傷」の疼きを抱いて歌って下さっているの
       だろう。
       
       やっぱり、舟木さんは素適で凄い!!
       林真理子も、内館牧子も、阿川佐和子も、”熟女”がみんな、ぞっこん惚れ込む。
       私たちは名もない応援者でしかないが、舟木さんがステージで表してくださる、あの深ゝとした
       50年分の感謝の礼だけで、充分気持ちが満たされていく。
       (例え復活ファン新参組であったとしても、である。)
 
       まだまだ50周年は続いていく。 
       舟木さんには、元気でご機嫌よく、オンリーワンの歌と世界を届けてもらいたい。