「 蜃気楼 」
作詩: 上田成幸
作曲: 上田成幸
2000年(平成12年)10月発売 カップリング曲 さよならの朝に

平成12年といえば G3Kのコンサートツアーが始まった年だ。
舟木さんは、お芝居の一ヶ月公演もこなしながらの、随分ハードなスケジュールだったということだが、
その上に、シングルCDも3枚発売となっている。
平成12年1 月 「想い出カフェ・オレ」 (C/W どうせ On The Rock)
8 月 「小さな手紙」 (G3K 舟木一夫)
10月 「蜃気楼」 (C/W さよならの朝に)
「浮世まかせ」で
花を枕の盃に 紅のかおり舞う午後を過ごすのは、「蜃気楼」の1年半後のこと
「蜃気楼」での午後は、まだ少し寒い
” 思いがけず 夢にはぐれてしまったから
こころが揺れる 

ゆりかごが揺れる
遠い日の想い出は
ゆらゆらと 揺れるゆりかごのなか
眠りに誘われ まどろみとなる
” 顔をうずめた母の胸
遠い日の木漏れ陽
移りゆく季節に
人は巡って
繰り返した出会いと別れに
ぬくもりを抱きしめる
” ゆらゆらと 揺れる陽炎の日々
見えないものが見えていたのか・・
まさしくあれは「蜃気楼」・・・
はぐれた夢を探しあぐねて
とまどいの中で 微笑みを呼びもどす
” 揺れないで 泣かないで
うつむかないで
寒い午後は誰かの手に ゆだねればいい
寒い午後は誰かの手に ゆだねればいい
たとえ寒い午後ではあっても、この寒さをゆだねられる誰かがいる。
紅のかおりが舞う春の午後を、浮世まかせで生きるひとも、もちろん決して一人ではない。
絵のようなシーンの中に、どうしようもない舟木一夫(上田成幸)の人恋しさが溢れる。
人を信じないなんて、俺には出来ないよ 

人が恋しくなかったら、
情のある歌なんか唄えるもんか (写真集「瞬」P2より)
だからあの声、あの眼差しなんだ。
あの声、あの眼差しに、彼を見つめる観客は みな
痛みを溶かされ、ぬくもりに包まれていく。
ひとはみな
思いがけない人生を生きるもの
だからこそ
” 人はいつも 人にすがり
とまどいを繰り返しながらも 2009年(平成21年)6月発売
ぬくもりを探し いたみを溶かす愛を求める
おだやかによみがえる 木漏れ陽のなかでさえ ”
2012ファイナルコンサートを済ませたら、いよいよ50周年の幕が開いていく。
途中、お互い見失っていたとはいえ、人恋しい彼に、淋しい思いはもうさせられない。
そしてたっぷりと、できれば浴びるように彼の歌を堪能していきたいものだ。
舟木一夫は走る。 元気で、駆け抜けて欲しい。