「明日に向かって走れ!」 | 満天の星Lovelyのブログ

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60周年をあれほどに輝かせながら61周年へと繋げていかれた舟木さん、本当にお見事でした!
2023年もこれからもずっと、素晴らしい夢時間を頂けますように・・・。

               「明日に向かって走れ!」~2009コンサートより~
 
 
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          作詞: 吉岡オサム
          作曲: 小谷 充
          1973年(昭和48年)4月 「少年いろの空」B面として発売
 
 
 
 
「明日に向かって走れ!」
 
 
 
 
     昭和48年といえば、前年に引き続き、やはり世の中はざわついていた。
     活気はあったかも知れないが、春闘ゼネストやら、第1次オイルショックでトイレットペーパー
     騒ぎが起こったのもこの年だし、川端康成氏の不幸な最期、金大中氏拉致事件など大きな
     事件も多く、騒然とした年だった。
 
 
     歌謡界は、この頃になると天地真理、南沙織、山口百恵さんなどが登場し、男性歌手ではもう
     新御三家の時代が来ていた。フォークの流れも依然として大きくなっていたし、「かぐや姫」や
     「チューリップ」、「グレープ」や小椋佳さんだってこのころ聴いていたような記憶がある。流行って
     いたのは山本リンダの「狙い撃ち」、チェリッシュ「てんとう虫のサンバ」、いわゆる歌謡曲も健在で、
     渡哲也「くちなしの花」など。
 
 
 
 
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      そんな慌ただしい年に舟木さんのシングル新曲は
 
             1月 「都井岬旅情」
             4月 「少年いろの空」
             7月 「親不孝通り」
             9月 「サンチャゴの鐘」   
      だった。
      正直言って、ファンはこの時代に、舟木さんにこのような曲を求めていた 
      のだろうか、これで売れるのだろうか、というような企画である。                 
 
 
                                    
イメージ 2       ところがアルバム「宵待草/竹久夢二の郷愁」が6月に発売されている。
       想い出通りさんのブログでご紹介いただいたように、このアルバムは
                大変な意欲作である。
       夢二なのか舟木さんなのかと錯覚するほどに、夢二になりきった舟木
                さんの、渾身の ” 竹久夢二の世界 ” が、あんな騒然とした世に発売
                された。
   
        当時、「絶唱」でレコード大賞歌唱賞を受賞して以来、「歌が迷路に入
                 りこんでいた 」 と言われるくらいにご自分の歌に迷い、デビュー以来
                                   休養らしい 休養もとれず、ともかく疲れ果てていた舟木さんである。 
                           そんな年に4枚の新曲が発売され、素晴らしいアルバムが制作され  
                                                         た。
 
 
イメージ 3       ご自分の歌に迷っていたといわれる舟木さんだが、「明日に向かって 
        走れ!」 では、あくまで明るく優しく、”明日”を信じて走ろうと呼びかけ
        る。 まるで目の前にいる聴き手に語ってくれるようにして。
 
        一転、「宵待草」では、人を恋し求めてやまない夢二の詩の世界を、 
       彼の歌唱力を存分に駆使して表現し尽くしていく。
 
       この歌唱の幅の広さは、舟木さんならではと思う。
                
 
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    しかし、これらの新曲やアルバムを、当時、ファンは買えただろうか?
    お互い若い身の上、結婚していれば、子育ても家計の遣り繰りもある。
    働いていても、LPなどすぐには買えなかったかも知れない。
    学生ならなおのことである。
 
    今まで舟木さんを支えてきた聴き手の側に、あらゆる意味で舟木さんの
    新譜を聴きたいという思いや、「夢二ワールド」を味わうだけの余裕が
    なかったような気がする。流行ったのは、舟木さんがさし出す世界とは
    別の世界の曲であった。
                                                     「宵待草/竹久夢二の郷愁」
 
   
     それゆえに、あの頃舟木さんと私たちにとっての関係についてのみ言えば、お互い
     ”不幸の時代”だった、といえるのではないだろうか。
     わが身を振り返っても、生活の中から舟木さんは消えてしまい、消息不明になっていた。
     もっとインパクトのある音楽がどこかにあるものと、探していたような気がする。
 
 
     舟木さんとかつてのファンが、お互いに安否の確認をし、再会を果たして”幸せな時代”が
     始まるのは、もっともっと後のことになる。
     ごくごく最近の復活ファンなら、さらに長い年月がかかってしまった。
     舟木さんと私たちの、熱い想いを共有しあえるせっかくの”幸せな再会”が、このままずっと、
     ずっと続いてくれることを願うばかりの50周年である。