春爛漫 桜の宴はにぎやかに続いて
酌み交わす盃
天守閣に渡る 華やぎのさんざめき
歳月を刻んだ松の枝の向こうから
月影が射し込む
過ぎ去った栄華の日々の面影を
照らし出すかのように
晩秋の陣営 渡り行く雁の鳴き声
侍たちが天空に振りかざした白刃
墓標代わりの主無き剣を
あの月の光は <会津城>
白々と照らしていた
夜更けて 荒れた城に月がかかる
石垣を覆い尽くす蔦かずら
嵐のように鳴る 松の枝
風の音ばかりが 通り過ぎていく
栄枯盛衰 人の世の移ろい
今夜も 夜更けの月が
荒れた城の 高殿を照らし出す
無常の中にも 月影は射し込む
昔も今も 変わることなく
白々と 煌々と