建物に潜む未知の揺れ

建物に潜む未知の揺れ

~”地盤との共振”の脅威~

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建物に潜む未知の揺れ
 

~”地盤との共振”の脅威~

建物への脅威 “地盤との共振”


建物に潜む未知の揺れ-01 東日本大震災の震源から770キロ離れた大阪・咲洲。この地域で周囲よりも特に大きな揺れに見舞われた建物があります。地上256メートル55階建て大阪府咲洲庁舎です。地表で観測された震度は3。しかし、天井や壁が落下するなど360か所が損傷する大きな被害が出ました。当時、24階にいた女性はゆっくりとした揺れが徐々に大きくなり、それがおよそ10分間続いたといいます。


建物に潜む未知の揺れ-02ミシミシといろんな音が鳴ってきて それがどんどん音が大きくなってきて揺れがすごく激しくなってきて、それでこのビル自体が折れてしまうんじゃないかとか そういう恐怖を感じながら、いました




建物に潜む未知の揺れ-03 地震計の記録をもとに再現した揺れです。最上階付近では揺れ幅は往復で3メートル近くに及びました。なぜ、この建物だけがこれほど大きく揺れたのでしょうか。

名古屋大学の護(もり)准教授はこの地域の地盤がどんな周期の揺れを伝えやすいかに注目しました。それは地表付近の地震計の記録から読み取ることができます。揺れの波形を分解し短い周期から長い周期まで並べます。

最も大きかったのは6.5秒という長い周期でした。長い周期の揺れを伝えやすいのは軟らかい地盤です。咲洲庁舎など多くの高層ビルが立ち並ぶ大阪平野の地下には軟らかい堆積層が深くまで広がっています。地盤の固さによる伝わり方の違いを護准教授の実験で見てみます。


建物に潜む未知の揺れ-05 左が固い地盤、右が軟らかい地盤の模型です。長い周期の揺れを同時に加えると軟らかい地盤のほうだけが大きく揺れます。

そこに建物を乗せて長い周期の揺れを加えると、どうなるか。軟らかい地盤に乗った高い建物だけが大きく揺れることが分かりました。このようにある高さの建物だけが大きく揺れる共振現象が55階建ての庁舎に起きていたのです。咲洲庁舎の建物が揺れやすい周期も地震計のデータから分かりました。


建物に潜む未知の揺れ-08 6.5秒です。地盤が伝える揺れの周期も同じ6.5秒建物と地盤の周期がぴったり一致しました。共振現象が起きたことで、揺れはおよそ50倍に増幅。大きな被害につながったのです。






建物に潜む未知の揺れ-09 名古屋大学 護 雅史准教授

共振現象を生じると 設計で想定した以上の大きな揺れになって 設計以上の損傷が生じる可能性があります

共振を起こす可能性のある建物は、各地にあると護准教授は見ています。高層ビルと都市の地盤の周期を調べました。


建物に潜む未知の揺れ-10 全国の地盤の周期を表した地図です。赤が長い周期、青が短い周期で揺れやすい地域を表しています。大阪全域で60メートル以上の高層ビルがどの地盤にあるのか重ね合わせました。

建物の周期と地盤の周期が一致することを示すのが赤いラインです。共振する可能性があるビルは誤差を含めるとおよそ30あることが分かりました。

建物に潜む未知の揺れ-11 名古屋近郊では。共振する可能性があるのはおよそ20に上るという結果になりました。護准教授は震源が大阪や名古屋に近い3連動地震が起きた場合、共振による被害はさらに拡大する可能性があると指摘します。






名古屋大学 護 雅史准教授
次は 東京かこの地域の大地震だと言ってもおかしくないくらいもう切迫性が高まってますから どういう周期をもっているかを確認・調査することが大事だと思います

一方、軟らかい地盤以外でも揺れの周期が建物と一致し、共振が起きていたことが東日本大震災で明らかになっています。

先ほどの実験装置に今度は固い地盤で伝わりやすい短い周期の揺れを加えます。すると固い地盤の低い建物だけが共振を起こし大きく揺れるのです。


建物に潜む未知の揺れ-13 この現象が見られたのが比較的固い地盤にある東北大学の青葉山キャンパスです。83棟のさまざまな高さの建物のうち10階建て前後の3棟だけに大きな被害が出ました。この研究棟は2001年に耐震補強を行っていたものの、四隅の柱がすべて壊れ取り壊しが決まっています。

ここのレベルでの損傷は非常に激しくって壁が、こういうふうに水平に割れてるような状況になってます。


建物に潜む未知の揺れ-14 地表近くの揺れの記録です。
周期ごとに揺れの大きさを解析すると1秒という短い周期の揺れが際立っています。研究棟の周期も同じく1秒。この周期で共振が起き10階建て前後の建物だけに被害が集中したのです。







建物に潜む未知の揺れ-15 東北大学大学院 五十子幸樹准教授

ちょうど地盤が1秒という(建物の)弱点を突いてくるような特徴を持っていたので建物の弱点と地盤が持ってた特徴 これがたまたま不幸に合ってしまったことが 建物の損傷に与えた影響は 改めて考えると大きいと思います


●地盤と建物の周期の一致 共振の恐怖

ゲスト福和伸夫さん(名古屋大学教授)

建物に潜む未知の揺れ-16 これ(大阪府咲洲庁舎の揺れ)は怖かったと思います。私自身もその日は、東京・青山の高層ビルにいたんですが、15階で、今回のような問題についてのセミナーをやってました。たぶんそのときの揺れから感じると、往復で3、40センチだったんですが、それでも大変な恐怖を感じました。それに比べて、3メートルの往復の揺れっていうのは、これは本当に中にいた人は怖かったろうと思います。東京ですら数十センチだったもの、それがずっと距離の離れた大阪で、3メートル弱、これが地盤と建物の共振の怖さなんですね。

1か月前に建築研究所が地震計を設置してくれたんです。それも建物の一番下の階と、上のほうの階、2つの地震計がついていたおかげで、その建物が6.5秒で揺れやすい建物であるということが、明快に記録されたんですね。
そしてその近くにあった、防災科学技術研究所の地下千数百メートルの地表のセンサー、ここでも揺れが記録されていて、その間でも6.5秒の揺れが増えていたんです。ということは、地盤も6.5秒で揺れやすく、建物も6.5秒で揺れやすい。2つの周期がぴったり合って、この大変な揺れになってしまったんですね。

これはマグニチュード9という大変大きな地震でしたから、あまねくすべての周期の揺れがたっぷり出たわけです。そしてそういう周期の長い揺れは、遠くまで遠くまで伝わります。その遠くにあったのが、東京、大阪、名古屋なんですね。
そこには大変厚い堆積層で作られた平野があって、長い周期で揺れやすい。
しかもその上に、長い周期で揺れやすい超高層ビルがたくさんあったんですね。その中で、たまたま、ある建物は地盤の周期と建物の周期がとても一致して、すごく揺れたんですね。

●今後の巨大地震 共振はどう影響

これからやって来る東海・東南海・南海地震、これはもうほぼ確実にやって来るといわれています。この地震の震源域までの距離は、今回の東日本大震災と比べて、5分の1以下の距離にあるわけですね。ということは、揺れは、今回、経験した揺れの何倍もの揺れになるわけです。ですから、今回の震災で思ったより強く揺れたと感じた方々は、その揺れについて必ずなんらか、点検をしていただきたいと思いますね。

この地盤というのは、建物によってずいぶんイメージが違うんですね。

建物に潜む未知の揺れ-17 これ、私たちがよく使っている戸建て住宅のようなもの。こんなに小さいんです。これが大体50階建てぐらいの高さ200メートルぐらいのビルですね。こういう普通の建物にとって大事な地盤というのは、こんな距離なんですね。こういった所の地盤が大切になります。くいを打ったりとか、液状化するっていうのは、こういう浅い地盤なんですね。これに対して、こういった超高層ビルでは、これ、高さ200メートルぐらいですと、1000メートルぐらいの地盤の影響で長い周期の揺れが作られるんです。例えばこのビルが、ここにあったら、これ、短いのでガタガタ揺れるだけであまり関係がありません。すごく厚ければ長い周期であまり関係ないんですが、ちょうど頃合のいい周期ですと、こんなふうにこのビルが揺れてしまうわけです。こういった地盤の厚さ、こういったものが大事になってくるんですね。

当初の日本の設計というのは、長周期があることをあまり考えていなかったんですね。
そもそも日本の耐震基準は最低基準である建築基準法に基づいています。
そこでは、こういった共振のチェックは特に義務づけられてはいないんですね。
ただ2003年の十勝沖地震以降はこういった揺れのことが、社会的にも注目されていますので、ビルのオーナーによっては、そういったチェックをしっかり設計時にするように指示される方もいらっしゃいます。


地盤との共振 対策は


建物に潜む未知の揺れ-18 5月に開業を控える東京スカイツリーです。去年3月11日、日本で最も高いこの建物が震度5弱の揺れに遭遇しました。しかし、スカイツリー本体に被害は全くありませんでした。地盤の周期をあらかじめ考慮した設計が生きたのです。



建物に潜む未知の揺れ-19 スカイツリーの設計を担当した大手の設計会社です。この会社では独自のシステムで地盤の特性を調べ建物一つ一つの設計に反映させています。スカイツリーの下には軟らかな堆積層が地下2500メートルまで広がっています。

この地盤が、どの周期の揺れを伝えやすいか調べたところ最も大きかったのはおよそ8秒の周期でした。ところが高さ634メートルのスカイツリーの周期もこれに近く共振する可能性があることが分かったのです。

そこで考え出されたのがスカイツリーの中心に設置した心柱です。
建物に潜む未知の揺れ-21
右側の模型が心柱を用いたスカイツリー。地震によって揺れが始まると高さの違いなどから心柱はツリー本体と異なる周期で揺れます。それによって揺れを打ち消し合う仕組みです。
この技術は地震の揺れがスカイツリーの地盤にどう伝わるのか徹底したシミュレーションを行い生み出されました。

およそ100通りの地震のパターンを想定。
あらゆるタイプの地震を抑え込めるよう考えたのです。


建物に潜む未知の揺れ-22 日建設計 構造設計部 小西厚夫主管
やってくる地震の性格さえ分かれば それを抑えていく方法が必ず見つかると思います 構造物を設計するためには 地盤の情報がいちばん大事だと思います

一方、既存の建物にとって地盤との共振に向けた対策は大きな課題です。咲洲庁舎ではたとえ共振が起きても揺れの被害を最小限に抑える対策を取ることにしています。そのための改修工事の案です。


建物に潜む未知の揺れ-23 新たに取り付けるのが制震ダンパー。揺れを吸収するクッションの役割を果たします。当面の対策として300台のダンパーを各フロアに設置。
その費用は15億円です。





建物に潜む未知の揺れ-24 大阪府 総務課 入江健二参事

既存の建物ですので 実際施工ができるかどうか 実現の可能性の話であるとか やはりコスト面というのがあるので、そういった課題を解決しながら検討していかなければならないかなと思います

さらに地盤との共振そのものを起こさないための対策も始まっています。愛知県庁では6年前に始まった庁舎の耐震改修工事の際、3秒の周期で建物と地盤が共振する可能性があることが分かりました。そこで取り組んだのが建物の周期と地盤の周期をずらすことでした。

建物に潜む未知の揺れ-26 建物の基礎部分にさまざまな免震装置を設置。地盤が3秒の周期で揺れても建物は4秒の周期で揺れるため共振を避けられることになったのです。






建物に潜む未知の揺れ-27 愛知県 建設部 若月嗣雄主幹

この地域で地盤がどのように揺れるのかという 地盤の揺れる特性を配慮した上で耐震改修を行う。
東海・東南地震に対応するという免震を考えて対応しております





●共振対策 待ったなしの対応を

建物に潜む未知の揺れ-28 (共振を避ける技術は)いろんな種類が提案できますね。ですから、これはもう、やる気になるかどうかだけなんです。そのコストも決して高いものではありません。もともとの建物を造ったコストと比べれば、たぶん数%以下でできるはずなんですね。もともと高層ビルっていうのは、20年に1度ぐらいは設備改修といって、エレベーターなどの改修工事をするんですね。このコストは、この安全にするためのコストと比べればはるかに高いんです。ですから、その気になれば、設備改修をするときに一緒に揺れにくくするような改修っていうのはいくらでもできるんだと思います。

これはもうぜひやらないといけないことですね。日本全国にある超高層ビルの数というのは、1000から2000なんです。これぐらいであれば、調べようと思えば、すべて調べられるはずなんですね。ですからまずは現状をチェックすること、それからこれから造る建物に関しては、簡単に地盤の周期を調べることができますから、その周期を調べたうえで、共振を避けるようにするのか、これは建物の形を変えればなんとかなります。あるいは共振をしても大丈夫なようにするのか、なんらかの手段をしていくべきだと思いますね。

われわれ、これから何ができるか問われていると思います。


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