どれだけタンカを切っても動じないベンジャミンに愛想を尽かした俺は、痛みを忘れて寝ることにした。
少し前、痛み止めを飲んだから後30分もすれば、このうざりとする痛みから解放され、長い夜も終わるだろう。
暗く静かな病室。
元々一人が嫌いではない自分にとっては、一日を閉じる場所として何の不満もなかった。ある一点を除いては。
その重大な問題に振り向かざるを得ない状況は突然やってくる。
廊下から聞こえてくる悲鳴。泣きながら名前を叫び、静かな夜をえぐる。
そう、ここは救急病棟。同じフロアに集中治療室もある。今まさに、生死をさまよっている人が壁の向こうにいる。
否応がなしに耳に入ってくる泣き声。管につながれている以外は普通の俺には、到底受け入れることができなかった。
しばらくすると、同じ部屋におそらく、食当たりであろう男性が運ばれてきた。
命に別状はないようであるが、時折痛烈な痛みに襲われ唸り声を上げる。必死に励まそうとする家族。これが現実である。
救急病棟にほぼ平静なまま一人取り残されるということ。
周囲に気を散らすことができないくらい、自分も苦しんでいたら、どれほど幸せなことだろう。
そう思わせるほど、リアルな苦悩の音だった。
思いつく限りの面白い話を頭に浮かべながら、必死に気を紛らわせていると、痛み止めの効果が出てきたのだろうか、疲れて寝てしまっていた。
能天気なのはベンジャミンではなく、自分の方ではなかったのかと、今では思う。
長い長い夜も終わり、退屈な生活が始まった。