●不眠症

不眠とは、満足すべき睡眠がとれないと自覚することです。睡眠時間が非常に短くても本人が満足していれば、ふみんではなく、逆によそ目にはよく眠っているようにみえても本人が不満であれば不眠です。眠りの障害には、寝つきが悪くてなかなか眠れない、睡眠が浅くてすぐに目覚めてしまう。夢ばかりみて寝た気がしない、睡眠時間が短くて朝早く目覚めてしまう、終夜一睡もできないといったさまざまな程度があります。五臓の一つである心は火臓で陽に属し、意識は心神が主っています。太陽が天にあって陽気が盛んな日中は、心神が活発で意識が清明であり眠ることは少なく、太陽が沈んで陰気が盛んになる夜間には、心神が安静になって、意識は沈潜し眠りに入ります。安静になるべき夜間になんらかの原因により心神が乱されると、不眠が発生するのです。

●養生法

血の不足が主な原因    心、肝、脾の不調に注意

原因の大半は、ストレスや不安感などの精神的なもの。中医学では、このように精神のバランスが崩れて起こる不眠の症状を[心]の不調と考えます。これは、心が血液の流れと、精神活動の中枢を担っている臓腑だから。精神は血の栄養を得て安定するため、さまざまな原因で心の血が不足すると、精神が不安定になり不眠の症状が表れるのです。このような「不眠と血]との関係から、血と深い関わりのある[肝」[脾]にも注意が必要です。血の貯蔵庫である肝や気血を生む源となる脾に不調が現れると、心の血にも影響し、不眠が起きるのです。精神的な問題のほかにも、病気、薬などによる興奮、高齢、更年期、暴飲暴食など、不眠を引き起こす原因はさまざまで、不眠自体は深刻な病気ではありませんが、症状が長引けば、身体の不調につながることも少なくありません。

●タイプ別[不眠]の養生法     ストレス過多の[気欝、きうつ]タイプ

精神の安定が快眠のポイントに、中医学では、感情を[喜、怒、憂、思、悲、恐,驚]の七情に分けて考えます。これらの感情が過度に続くと、臓腑の気血に悪い影響が現われます。この中で、特に不眠と関わるのは[憂うつ]「怒り][悩み、思][悲しみ]の4つ。これらの感情がストレスとなり[心][肝][脾]に影響すると、精神を安定させる血が不足して不眠となります。特に、このタイプは感情のコントロール機能を持つ肝に注意が必要。ストレスで血が不足すると、肝の機能が低下することで、さらにストレスも悪化するという悪循環に陥ってしまいます。とにかくストレスの発散を心がけ、症状が重くなる前に早めに改善しましょう。

●食の養生   香りの良いもので、ストレスを発散させましょう。

菊花・キンモクセイの花・ジャスミンの花・しそ

●主な症状

寝つきが悪い・よく夢を見る・憂うつ・胸苦しい・ストレスが多い

●このタイプに用いる方剤   加味ショウ遥散・酸棗仁錠

●女性に多い「血虚」タイプ     月経の期間や、産後にも要注意

血は[陰にあたり、[静]の性質を持っています。このため病後や月経期間、産後などに血[静]が不足すると、精神が休まらず、不眠の症状につながります。慢性化しやすい不眠症で眠りが浅いことも特徴。不安感や、動悸、めまい、健忘などの症状も見られます。不足している血を補うことを中心に養生。

●食の養生    甘みのあるもので、体内の足りない血を補いましょう。

黒砂糖・百合根・甘草・赤ワイン[少量]・干しぶどう・クコの実・ナツメ・竜眼肉・たまご

●主な症状

不眠の慢性化・浅い眠り・不安感・健忘・動悸・めまい

●このタイプに用いる方剤     婦宝当帰膠・天王補心丹

●更年期の[イライラ]タイプ      陰陽のバランスが悪く、気持ちが不安定に

五行学説では[心]は火[陽」[腎]は水[陰]にあたりどちらかが強く働きすぎることのないよう互いを抑えながらバランスをとっています。しかし慢性病や更年期などで、心身が疲労すると腎の陰を消耗し、心の陽を抑えられなくなってしまうのです。イライラやほてりを伴うこのタイプの不眠は、このように陰陽のバランスが悪くなることが原因。体内の熱を下げ、陽気「動]を静めることを考えましょう。

●食の養生    

苦味のあるもの、涼性のものを選び、体内の熱を落ち着かせましょう。

竹の子・ふきのとう・ふき・のり・蓮根・くちなし・にがうり・わかめ

●主な症状

寝つきが悪い・イライラして驚きやすい・気持ちが不安定・ほてり、寝汗、口の渇き

●このタイプに用いる方剤     天王補心丹・寫火補腎丸・柴胡加竜骨牡蠣湯

●消化不良の[ムカムカ]タイプ    食べ過ぎ、飲みすぎには要注意

暴飲暴食などで、胃が傷つくと、胃の機能が低下して消化不良を起します。食物が胃に長く停滞するため、胃が重く、ムカムカして眠れなくなるのです。消化機能を回復させることで、不眠は改善できますが、胃の不調が慢性化すると、熟睡できない状態が続いてしまうため、早めの対応を心がけましょう。

●食の養生    消化を促し、胃の消化機能を回復するものを。

山査子・麦芽・みかんの皮・大根・しその実・くり

●主な症状

寝つきが悪い・胃の膨満感・胃のむかつき・げっぷが多い・胃の張り・痛み

●このタイプに用いる方剤    温胆湯

*興奮して一向に眠れない場合は実証

疲れているがなかなか寝つけず、眠りが浅く夢が多い場合は虚証

●睡眠のメカニズム    陰陽のバランスを整える

疲れにはエネルギー不足タイプ・・・・・・眠くなりやすい

疲れには血液や潤い不足タイプ・・・・・・眠れなくなります

陰は夜、安静、暗い、冷たい、潤い分、体内などを

陽は昼、活動、明るい、温かい、熱エネルギー、体表を示しています。

ぐっすり眠るためには、体を陰の状態にし[陰血を充足させる]活発に働くためには陽の状態にする。[気を充実させる]反対に夜に興奮して熱くなったり、血液などの潤い分が不足して火照ったりするとこれは陽の状態なので、なかなか眠れません。中には足が冷えて眠れないという方もいます。これは血液不足で手足の末端まで行き渡らないためです。

●虚実に合わせた治療と生活リズムに合わせた治療

同じ熱でも、興奮によるものは、実熱と言い、顔が赤く、目も充血する傾向にあり、竜胆寫肝湯・黄連温胆湯・牛黄清心丸などを使います。食べ過ぎには焦三仙を便秘を伴う場合には大黄製剤を使用して熱を取り除きます。潤い不足でのぼせや手足の火照りを伴う場合は虚熱と言い天王補心丹を使います。血液不足で顔色がよくなく、立ちくらみなどの貧血症状を伴う場合は帰脾錠を使います。1日3回使用して体質改善を行い自然な睡眠を得ることに使います。精神状態を安定させることを安神と言います、酸棗仁湯は安神剤の代表処方でどのような不眠のタイプであっても夜寝る前に睡眠導入剤の代わりに服用すると良いでしょう。又朝に衛気を補う玉屏風散を服用して1日元気に動き回れるようにすると夜の睡眠を促すことが出来ます。・補気薬は朝服用、補陰[血]薬は夜服用すると薬の効果を引きだします。

●シベリア人参   益気安神・補腎健脾

自律神経系では憂欝を除去し、同時に鎮静、睡眠を促し、うつ、不眠症、更年期障害である。循環器系では低血圧、狭心症、疲労倦怠感、ストレスに対応、特に化学療法による白血球減少症

眠りの質の改善に天王補心丹、帰脾錠と併用致しますと効果がでてきます。