地域社会圏
いただいた配信に、世界で活躍される建築家、山本理顕氏の建築思想をわかりやすく紹介している映像がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=1C1T2KbyPSc
経済が停滞し、また、仮想店舗など現実の場を設ける必要のない業態がある程度の市場を占めつつある今、
利潤追求の高層建築物を建てることは、ニーズに反する方向性といえます。
山本氏は、国家が豊かな地域社会の理想を示すことも必要なのではないかといっています。
それによって規制を設け、統制のない「場の破壊」を防ぐことが必要なのではないでしょうか。
日本の一般ビル建築や地域開発においては建築家の存在は大変弱いもののようです。
将来を見据えた構想の提案よりも、
デベロッパーを中心とする注文主の要求するものを如何に無理をしてでもデザインするか。
そうしない限り仕事が回ってこないからです。
海外の建築物におけるコンペでは、建築家の思想やコンセプトを大変重要視し、
建築家が心血注いだデザインであることを求めているようです。
「建築家は豊かな地域社会を作ることが仕事だ」
と決めてほしい!!ともいっています。
そうでないと、地域社会に資する信念をもって構想の提案をすることができないと。
山本氏は、
人間が豊かに生きる環境とは、
高層建築や閉ざされた空間をプライバシーと言う言葉に置き換えて孤立を進めるのではなく、
人と人が適度なかかわりを築くことなのではないか、
との考えから、
韓国の公団コンペにもこれから高齢化社会を迎えることを見据え、
地域社会圏構想を人同士のふれあいが自然に生活の一部となるよう具体的に提案し、採択されています。
神田の今現に進められている再開発と称する複数の高層建築物、
千代田区行政の無策どころではない、積極的な推進があって集中したものと理解しています。
もしかして、コンパクトシティ構想と言うかもしれませんが、
交通網がこれだけ発達し、病院や文化施設が数多くある都市部に高層建築物を建てて人を集中させる必要性は皆無と言えます。
と同時に、都市は今も過密が進んで生活環境が悪化している一方で
地方は人口の減少になかなか歯止めがかからず、地域経済を支えることに困難をきたす場合があります。
都市にこれ以上人が増える政策は国、自治体ともに回避する必要性が多大と考えられます。
飯田橋駅の再開発についても、その構想時点、
お濠の石垣をないも同然にしようとの案が持ち上がったと聴いています。
昨年のブラたもりで、たもりさんが
「お堀がすべて現存していたら、世界遺産になっていたのではないか!!!?」
と感想を述べていましたが、そのような文化的価値に目もくれない都市行政、
悲しいとしかいいようがありません
そして、区有地の不適正・不透明な利用に対する署名を含め、住民の声を無視する千代田区政、
これでも「区民に開かれている行政」なんて言うんでしょうか。
結構いま憤懣やるかたない中野です