北彩館と鰐come
Ⅲ期になって、水曜日は嶋口充輝先生の「市場戦略論」を受講しています。
その教室が外濠の南東(?)側にあるため、飯田橋駅西口改札を出て正面、牛込橋を左に渡ります。
いつもなら、信号を右に渡り、お濠沿いの土手をのんびり歩くのですが、先週はそのまままっすぐ行き、青森県のアンテナショップ「北彩館」の前を通りかかりました。
そこに「大鰐」の文字の入った仮設テントが!!!
吸い寄せられるように立ち寄ると、夏の集中講義で佐々木先生の「地域ブランド論」中で話しに出た
『毛豆』を発見しました
見た目は悪いが、とっても美味しい。。。と聞いていたその毛豆に、美味しいものは何でもベツバラの中野は当然手を伸ばしたのですが、ふと隣を見ると「黒豆の枝豆」が
聞いたこともないその産直品の出現に大いにとまどい、その挙動に不信感?じゃない、親切心で、お店の方がそばに来てくださったので、
相談の結果、目出度く「黒豆の枝豆」を購入することに決定。
その際、塩加減は控えめ・ゆで時間は長めとのアドバイスをいただきながら、佐々木先生に「鰐カム」の話を聞いたとお話しすると、
なんとその方は鰐カム関係者でいらっしゃり、佐々木先生とは懇意の仲だとか。
先日、申しそびれましたが、「鰐カム」は、もともと大鰐町の公営施設としての温泉併設の地域交流センターでしたが、運営が思わしくなく、地域外の業者に運営を任せる話しも出たそうです。
しかし、やはり地域を理解しない業者より、地元の力で運営したいと、
数名で「プロジェクトおおわに事業協同組合」を立ち上げて「鰐カム」の指定管理者となり、
一~二年で業績を黒字に転化したという、地域力結集のお手本のような経緯がありました。
その取り組みは、
①何より、地元を大切にするということ。
・地域にはこんなにすばらしいものがあるのだということを、目に見える形で紹介すること。
JAに頼るだけではなく、地域の産物を地域内外の皆さんに楽しんでいただこうと、その商品展開や展示にとても配慮があります。
②接客を大切にすること。
・来てくださった方々が、心から「来てよかった~」と思えるような、世界一の接客をするのだ!という心構え。
あまりスマートすぎて、都会的で、地元に嫌われてしまうのではないかという危惧の声もあるくらいのようですので、その点はグローバルスンダードを目指すより、地域色全開がもしかしたらよいのではないかとの感があります。
もちろん、自己満足、あるいは地元の方だけに通じる接客に陥ることは本来目的を失いますが、この地だからある地域色を大切にした、訪れた方々への誠意ある対応
(でも、もしかしたらこれこそがグローバルスタンダード?)
ならば、決して自己満足の方向には向かないのではないでしょうか?
③地域連携を図る。
・弘南鉄道との連携を図り、「さっパス」という『交通機関+入浴券+便利なクーポン券』を1000円で提供し、地域の幅広い年齢層の方々に利用していただけるようになりました。
これは、地域活性の一業績に終わるものではないと考えております。
じつは、これが市民自治の一動向といえるのではないかと。
今、武藤博己先生の「地方自治論」も聴講しております。
「聴講」は、前年も受けたのですが、相変わらず市民、行政、議員、議会など地域を構成する関係がしっかり把握できていないとの認識から、単位取得目的ではなく受けております。
武藤先生は、私の指導教授でありますが、自分があまりに出来が悪い自覚があり、今までブログ上の話題に載せることができませんでした。
かといって、CSR論、地域ブランド論、都市政策論、商店街活性化論ほかのどれをとっても、専門性に欠けますが
とはいっても、くじけてばかりはいられませんので、地方自治論的視点で申し述べます。
現在、地方分権が進んでいるとは言っても、地域は国施策の土木神話から地域特性を失ったり、借金体質になっていたりします。
大鰐町がいまどのような状況であるかは詳細のデータを集めてはおりませんが、数日前の新聞記事で惜しまれながらの保育所閉鎖によって経費削減といった動向をみるにつけ、決して予断を許さない財政状況なのではないかと理解します。
そのような中、「鰐カム」のように市民が自力で地域の特性を守り、地域の生産者を活気づけ、地域を成長させる動向は、
地域のその特性豊かな安心安全の食材やその他の商品の提供は、
日本のみならず世界からのアクセスを可能にする時代の助けもありますので、
例えば商業的な莫大な利得に直結しないまでも、
地元の市民の誇りや地域への愛着を喚起する効果をもたらすという可能性を大いに含んでいると考えられます。
そもそも、指定管理者という位置づけで業務に携わっているのだから、手続き的に市民自治体制として当たり前の役割ではないか、というご意見もあるかと思います。
しかし、大鰐町の場合、既存の業者が手を上げ、さらには競ったという状態ではなく、
このままでは地域が消失してしまうという危機感が、
これまでなかった市民の活動の発意を促したということに意義があると捉えております。
そして、そこに、行政や国の補完的位置づけが必要な部分としては、
国内・世界から価値を認めらるよう「オオワニブランド」あるいは「ジャパンブランド」が広く知れ渡るセールスに努めたり
(大鰐自慢の「青森シャモロック」という地鶏は、宮内庁御用達で、晩餐会や園遊会などでもメニューに組み込まれるそうです!!)、
滞りなく新鮮に流通できるシステムを構築するということになるでしょうか。
地域の魅力を活かす手立てとなる制度の創造や構築ははその地域を一番知る地域市民が大いに関与し、
その発展のために必要なことがあれば市あるいは郡、県、国が段階に応じて補完する。
それが地方自治の原点であるというのが私の理解です。
このことは、8月24日にアップした『神田地域の再開発事業は、神田再生の救世主か!!?その2』に載せた
「これからを生きる子孫にどのような地域を残してあげたいのか、意思ある市民が意見を出すということは、その地域の財産ではないでしょうか。みんながその地を大切に思い、さまざまな意見の中から将来を見据えたより良い方向性を模索することで、より地域のコミュニティとしての機能強化につながるのではないでしょうか。」
との理念と根を同じくしているものと思います。
いささか知りきれトンボの感が否めませんが、まだまだ長くなってしまいそうなので、今回はこれにてお開きということで。
文責 法政大学大学院 政策創造研究科 修士課程2年 中野