言論後進国日本
最近本を読んでいて「あれ」と思うことがたまたま続いた。
1冊目は「新・堕落論」(石原慎太郎)
石原氏は、アメリカの「核の傘」は幻に過ぎないという。
そして、アメリカによる日本統治は実に巧みに、実に効果的に運ばれてきたものだとつくづく思うといい、その象徴的左証が広島の原爆死没者慰霊碑に記された「過ちは繰返しませぬから」という自虐的文言だという。
「世界で初めての原爆投下で、瞬時にして二十万余の非戦闘員を殺してしまったのはアメリカ人であって他の誰でもありはしない。あの強力な破壊兵器の使用について、それを過ちとして反省すべきはアメリカ人であって、その殺された相手の日本人であるはずがない。記念碑の文言の主語があきらかに違っています。」
僕もホームページのコラムで書いたが(7月10日)、石原氏が著書で取り上げたことで、多分また、碑文論争が活発になることと思う。
2冊目は、「報道災害(原発編)」(上杉隆・島賀陽弘道)
前に中国人経営者と飲んだときのこと、彼から「中国人は国の報道を全く信じていない。人民日報に書いてあることで正しいことは2つしかないと言われている。日付と天気予報だ。日本人はマスコミ報道をそのまま信じているから、むしろき厄介だ」という話を聞いた。
「報道災害」で、著者の一人である上杉隆氏が全く同じことを言っていた。
「何といっても日本と一番違うのは、中央電視台、新華社、人民日報を作っている記者も、書いている記者も、読んでいる読者も、全員「政府のプロパガンダだ」と了解しているところなんですね。そこをちゃんと認識している。「報道に真実はない」ということをみんなわかっている。だけど日本は政府のプロパガンダをやっていて、政治家も政府も官僚も記者も「政府のプロパガンダじゃない」と思って発表をそのまま書いている。」
氏はこの差は、日本ではまだ「ツイッターもインターネットも生活の中心部分にきていない」ことによるという。
今や言論分野も日本は中国に超されてしまった。
この2冊は必読である。