夫の実家のお正月は、実に由緒正しいお正月。

毎年欠かさず、おせち料理を作り、年越しそばを食べ、初詣に出かけ・・・とこんな感じ。


おせち料理もすべて、母がつくるの。

私がそれを手伝うんだけど、昔の人だけに、「お正月だから」「おめでたいことだから」と・・・1つ1つ丁寧につくるの。

そして、それ以外にもご馳走が並ぶんだけど、お料理が終わって、さぁ食べよう、というときには使ったボウルやお皿はすでに洗われており、そういうところからもお料理上手、手際のよさがうかがえるでしょ。


結婚前は、おせち料理なんてつくったことはなく、もっぱら私は大掃除担当で、おせちは母がつくっているのを見ているかつまみ食いをして、怒られる・・・だけだったの。


そんな状態だったから、結婚して、「じぁ、なますでもつくってもらおうかなぁ?」

「なます?ですか?」・・・なますって、なんだっけ?


「このしいたけ、キッコウの形に切って。」

・・・キッコウって、どんな形だっけ?

で、亀甲のかたちに切ったつもりが・・・なんと「ひし形」に切ってしまったり!


その話を私の実家で親戚のおばたちと話していたら、一番笑いこけていたのは、私の母で、ほかのおばたちはやや青ざめた顔になり、「娘におせちはちゃんと仕込んでおかなくては!」と帰っていったわ。


うちの母は、本当に笑いこけて、「いやぁねぇ、まぁちゃんは!」って、そんな感じ。


それにしても、おせち料理って、家庭の味やら習慣やら・・・いろんなものが凝縮されていると思うのよ。

夫の父母は昔ながらのきちんとした、伝統的で厳しい人(特に義父は)なので、正直、緊張するわ。

特に・・・

「このお雑煮の味付けして」・・・え?私が!うわ、勘弁してください。なの。


私は、けっこう「薄味」なの。

だから、私が味付けするのは、違和感があるんだけど。

「適当でいいんだから」とは言われても、何度も「この味はどうですか?」って、何度も味見をしてもらうのよ。


何年か前に義母が指を怪我して入院したお正月があったの。

そのときは、大晦日、紅白が終わるまで、ずっとキッチンにいて、一人でおせちをつくったわ。

もちろん、料理本通りに。おかげで、おせちは一人で作れるようになったけど、味は・・・!?


二人ともできばえには触れずにいたような記憶があるわ。

「このかまぼこおいしいわね」・・・(そう、小田原のかまぼこですから!それ、切っただけのものなんですけど・・・)

「私のおせちはどうですか?」なんて聞く勇気もなく、お箸の動きと顔色を見ていて、いや~な汗をかいた覚えがあるわぁ。


実家だったら、きっと父も母も「え?これ全部、まぁーちゃんが作ったのぉー?すごい、すごい、よくできたね」って、まずはそういう言葉をかけてくれるのだけど・・・


あ~おかあさんのつくったおせちを31日に紅白を見ながらにぎやかに食べ、(私の家では、年越しそばは食べないで、31日にもうおせちを食べてしまうの!!)

新年の目標を自分の部屋で静かに考えて・・・


元旦は空のきれいな静かな東京で過ごすのよ。

三が日は・・・東京も空気がとってもきれいなの。そういうお正月がなつかしいわ。