先日、80歳近いお客様を施術していた時のお話です。

その方は昔からずっと柔道をされていた方で、東京オリンピックの強化選手としても選ばれていらっしゃったと伺っています。

当時の段位は三段。

確かその頃の三段は二段を100人抜きしなければいけなかったと思うのでかなり凄まじいですね…

その方がふと施術中にもらされていた一言

「昭和30年。

私の青春時代ですけれど、努力と根性と痩せガマン。

ガマンに次ぐガマン!

そんな時代でした。

それが今になってこうやってカラダに痛みとなってでとるんですなぁ‥」

普段の会話とは違った雰囲気で話されていたのと、直接お体にも触れさせてもらってますから言葉以上に響くものがありました。

それは昭和でも後半の生まれの私では全く体験したことがない空気です。

その時代が良いとか悪いとかではなくて、時代には時々の空気のようなものがあり、人もその中で生きる以上、それらをひしひしと刻みつけながら生きていくものです。

今と言う時間はこの方の場合は、その昭和30年代に刻み付けた努力もガマンも昇華させていくタイミングなんだな…

と感じました。

「かなりご無理もされたと思うんですけど、これからはねぎらっていたわっていきましょう。」

とこちらからお声掛けすると

「まさかこんな風に体をいたわるのが自分にとって大切な仕事になる日が来るとは思いませんでしたよ…」

としみじみおっしゃっていました。

「環境や部屋の空間といった外的要因が身体に与える影響はとても大きい。」

と言うお話はよくさせていただいているのですが、「時代」と言うのもそれにも増して大きな影響を与えるものだと感じ入りました。

1人の人間の体というのはその流れの中では川に浮かぶ木の葉のようなもの。

時や場所のタイミングによって影響を受けながら翻弄されていってしまいます。

それによっては極端な状況にならざるを得ない時もあります。

それはもう時と場合によってはどうしようもないことの方が多いですよね。

セルフケアがどうとか言う問題ではないです。

あるときは歯を食いしばって耐えねばならない時もある。

しかし、また時が巡れば過去も全部許して流れに身を委ね、中庸に帰る。

それは何10年と言う単位のスパンですが、そういったこともあるのだと深く学ばせていただきました。

今日もあなたに万福が降り注ぎますように!