大変遅くなったが、俳句結社「宇宙」同人であった八木裕子さんが亡くなられてしまった。ここに書くかを迷う内に季節が夏になってしまったが、やはり書いておきたい。
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彼女とは十年くらい前、私が『プールの底』を刊行し母に連れて行かれた俳句のパーティーでお会いした。その時に名刺を交換して手紙のやり取りをさせて頂いたのだが、当時の私は思春期を迎える娘達の子育てで余裕がなく、巻物の筆書きとなる彼女の書状に葉書で返信するのも憚られた事から、お返事を出せなくなってそのままとなってしまっていた。

彼女の活躍は島村正主宰が母に送って下さっている、俳句雑誌「宇宙」で目にはしており、そろそろご連絡を差し上げなければと思いながら月日が経ってしまった。

腹の底の方から、きちんとやり取りを続けなかった自分への怒りと天に召された彼女への想いが湧き上がってくる。

私のようなものが生き長らえてしまって申し訳ない気持ちにもなるが、そうでなく、彼女の分まで良い句を詠んで行こうと思う。

ご冥福をお祈り致します。

ひと尋の天衣無縫の蛇の衣 八木裕子