今日は土曜日。それはパーティ明けの疲労感に埋もれた一日を意味する。

 

昨晩韓国勢の誕生日会があった。パーティというのはアルコール分も入り、一番ぶっちゃけた話ができる場である。

また今日はなぜか友人の部屋に行き塊魂を3時間やるという奇想天外な展開があった。

そしてロリータ好きの女子に会い、東京への愛をひたすらに聞かせてくれた。

 

韓国の誕生日会とは、容赦のないものだ。

知っている方もいるかと思うが、韓国とは日本以上に上下関係のはっきりした国である。

それはつまり、いわゆる体育会系のノリが、生活のいたるところに見られるということだ。

そして昨日は、韓国勢の中でも最年少の学生の誕生日会であった。

 

盛大に祝おう!誕生日おめでとう!ということで、大きなピッチャーが用意された。

すると一人がビールを投入。

もう一人もビールを投入。

円形に座っている僕たちに、徐々に順番が回っていく。

僕もビールを投入。

次の人物はウォッカを投入。え、ウォッカ?

続いてマッコリが投入される。

続いてジンが投入される。誕生日マンが韓国語で「もうまじやめてくださいよー」と笑いうなだれている。

 

ああ、なるほど、ちゃんぽんイッキゲームか。。

 

その後も次々と様々なアルコールがごっちゃ混ぜにされていく。ピッチャーはビールやらマッコリやらオレンジジュースやら(優しい人はジュースを入れてくれる)が投入され、嗅いだだけで卒倒するレベルのアルコールフレーバーを放っている。

 

そして誕生日マンはそれを本当にイッキ飲みするのだから恐ろしい。

当然酔いは速攻で彼の体を駆け巡り、見る見るうちにヘナヘナになっていく。

かれは小一時間笑い転げたり真顔で片足つま先立ちするなどの奇行を繰り返したのち、ソファーに沈み込み泥のように眠り込んでいった。

 

時刻も2時を回り、皆酔いも回って深夜モードになっていく。

当然話はプライベート方面へと向かっていった。恋愛話と下ネタは万国共通なのだ。

アメリカ人の友人は日本人のガールフレンドがいるそう。去年日本に留学しており、その時に運命の出会いを果たしたそうだ。アメリカに帰ってきてから魅惑の女子に誘惑されたり誘惑されに行ったりしていろいろあったが、ガールフレンドとただの魅惑女子の違いを力説していた。

韓国人の友人にも日本人の彼女がいる。日本人女子モテるな。去年まで留学してきていた日本人女子に惚れ込み、彼女が日本に残してきた彼氏を押しのけて交際に発展したそう。やるねえ。

ケニアから来ている友人は、本国に7人のガールフレンドを残してきたそう。えっ7人!?そしてこちらに来てから1か月、もうアメリカで2人のガールフレンドを獲得したそう。そんな文字通りツッコミどころにあふれた男が、プレイボーイの秘訣を披露してくれた。「俺の周りにはあまりにも多くの女が居過ぎるだけさ」 しかしそうはいっても嫉妬に燃えた女たちは半端なく怖いらしく、自分に向けられた殺意を鋭敏に感じ取れるようになったそうだ。

 

ほかにも何人もの恋愛を長続きさせている人に話を聞いたが、彼らに共通するのは、一緒にいて鼻につく、嫌なところがないという点だ。

決してしゃべりすぎないし、相手の話を表情豊かに聞く。人の心に共感するスキルを持ち合わせている。

それが性格の基礎となっていて、その上に「理智的」「ひょうきん」「俺様」などの属性が付加されている。

 

それから皆浴びるように飲み、僕が自室に戻ったのは4時ころだっただろうか。

 

次の日はアルコールの残る頭を奮い起こして、12時に友人宅へ出かけた。

 

僕は何としても行かなければならなかった。なぜなら僕がTAを務める日本語クラスの学生から、「塊魂」やらない?と熱烈に誘われていたからだ。

 

塊魂、それは伝説的ゲームである。

 

フルポリゴンで構成された家、町、世界の中で、プレイヤーは球形の「塊」を転がしてゆく。転がすことでプレイヤーはさまざまなアイテム(消しゴムといった日用品など」を巻き込むことが出来る。転がすうちに塊は様々なアイテムを巻き込みどんどん大

きくなる。すると今まで巻き込めなかった机、樹木、人間、家、ビル、大陸、果ては宇宙空間に飛び出してブラックホールまで巻き込めるようになるのだ。

 

この和ゲー史上最大クラスに面白い「塊魂」を、まさかアメリカ人に誘われてやることになるとは、夢にも思わなかった。

 

友人とプレイしていたら、気が付くと3時間が経っていた。本当に面白いのである。

 

ゲームの面白さとは、「ゲーム内世界へどれだけ干渉できるか」に大きく決定されるのではないかと、個人的に思っている。

GTA5にしろskyrimにしろ、高度な物理エンジンを駆使して「見えるものすべてに触れる、動かせる」環境を駆使している。

ただストーリーや風景を眺めるだけなら映画で十分だし、その方が何倍も充実した経験になるであろう。ゲームというメディアに固有の魅力とは、ストーリーであれ物体であれ、あらゆるものへの干渉が出来ることだ。

 

その点、「塊魂」は無敵である。

 

なにしろ見えるものすべてを巻き込み、街の風景すら自身でがらりと変えることが出来る。

配置された無数のオブジェクトに触れ、その一つ一つが巻き込まれるたびに可笑しいリアクションをとってくれるのは、プレイヤーに快感と没入感を与える。

 

自分の行動により世界が大きく改変されていくことで、「ああ自分でも何かに影響を与えられる、ここに自分の居場所がある」と、自己肯定感がもたらされていくのだ。

 

世の中、金儲けのコツはいかに人を依存させられるかだと思う。

 

ゲームは世界への介入感、それはジャンルにより敵を打ち倒す快感、ストーリの行く末を自身で選択できる高揚感、オンライン上で他者と関われることなど様々だが、それらを駆使して、プレイヤーにもう一つの世界を用意してくれる

 

「塊魂」は、見えるものすべてを巻き込むことが出来、プレイヤー自身の力で最終的には宇宙空間含めオブジェクトすべてを手に入れることが出来るという点で、プレイヤーに神の権限を与えてくれるのだ。

 

みんな大好き塊魂。

 

そして夕食の席では、新たな友人に出会った。

彼女は4年前に中国から渡米してきたという中国人である。

 

そしてロリータ=ゴスロリファッションが大好きである。

来年夏、東京への上陸を画策しているようだ。

 

こちらに来て、日本に興味があるという学生は意外にも多い。

 

確かに客観的に見て、日本とはとても面白い国である。

 

200年前まで物質的にど田舎な生活を送っていたかと思えば、開国後著しく欧米化し調子に乗り、ファシズムはびこる邪悪な帝国として悪行の限りを尽くし、大戦後物質的な繁栄、アメリカに保障された平和を背景にエンターテインメントを極限まで発展させた国。

 

確かに一部の外国人にとっては魅力的だ。

 

神道という固有の生活観念が人々の奥底を支配し、独特の文化感情が未だ色濃く残っていること。

四季のはっきり分かれた島国で、おいしいものがたくさんあること。

洗練されたエンターテインメント。

文法構造から根本的に異なる珍妙な言語。

 

留学を経るとアメリカかぶれになるかナショナリストになるかして帰ってくるというが、果たして僕はどっちになってしまうのか。