散歩をする時にいつもルートにしている、歩いているといろいろなことを思い出したり感じたりする緑道。

四季を感じるのもいつもこの道。

その道でふとなつかしい匂いを嗅いだ。

アークロイヤルだ、とわかった。

すれ違ったのはベレー帽をかぶった60歳は過ぎているだろうと思われる男性。

凝視したわけではなかったけれど一瞬葉巻に見えたのはあれだったのか、と思った。


アークロイヤルはかつて愛煙家だった頃、大好きで一番良く吸っていた煙草。

友人が吸っていたのを見て、一目で「わたしの求めていた煙草」だと思った。

アークロイヤルはフレーバーつきの煙草で、チョコレート、アップルミント、紅茶がある。(もっとあるのかもしれないけれど、この3種類しか見たことがない)

わたしが吸っていたのはチョコレートで、パッケージには「SWEET」と表記されていてフィルターまでしっかり甘いし、その名を体現するがごとく巻紙もフィルターも全部茶色い。

まるでデザートのようなので、食後にコーヒーと一緒に吸うのが好きだった。

けれど、正直に言うなら、味自体がチョコレートだとは形容し難く(そう言われてはいるけれど)わたしにとっては少し重い口当たり。

実際のところ大しておいしいとは思っていなかったのだろう、と思う。

それでも吸っていたのは、まずは周りに彼以外それを吸っている人がいなかったことと、他の煙草と比べても類を見ない独創性に惹かれたことと、もちろんチョコレート好きなことは言うまでもない。


ちなみに他に良く吸っていたのはマルボロで、赤いマルボロ、マルボロライト、メンソールと色々試したけれどライトとメンソールが一番口に合った。

ちょっと憧れてトライしてすぐに断念したのは、赤いゴロワーズとジタンズ。

からいんだもの。

さらに甘ければいいというのも違うらしく、キャスターは吸うと気持ちが悪くなった。


わたしにとって煙草は自己表現の道具のひとつに過ぎなかったのだ。

だからやめるのも簡単だった。

そうして今は、分煙のカフェには極力入らないようにしている。