まだ9月の半ばだというのに、頬に触れる空気は冷たく、ゆっくりと私の自由を奪っていくようだった。
いや、空気が冷たいんじゃない。
私の体温が徐々に指先から解けて消えて行っているのだ。だからここはこんなにも寒く、冷たい。
ぼんやりとした視界には、キラリと一筋の光が輝いている。
私を映すレンズが一つ、窓から差し込む夕陽に反射して、眩しく煌めいている。
私から抜け出た体温を凝縮したかのように、ギラギラと輝きながら、私が消えていくのをただ静かに映している。

これで全てようやく終わる、何もかも。
そう思うと、安堵で涙がこぼれ落ちた。
暖かさを失った頬に、暑い一雫が流れていく。

ねぇ、そうでしょう。
これで全て終わる。
あなたの望んだ形で綺麗に終わることができる。
私の最期を、その目に焼き付けて…。

私のカサついた唇からは、かすかに息が漏れるだけだった。
けれど、レンズ越しにじっと私を見つめる愛しい人に、どうかこの想いが届きますように。

私の存在を焼き付けて。
その目に、そのフィルムに。
決して忘れられないよう、あなたの望む通りに、一生懸命死にます。
あなたに殺されて、私は幸せでした。

最期に、ひとつだけ。

私の目にもあなたを焼き付けさせて。
死んでも一緒に居られるように…。