😺ご訪問ありがとうございます❗️

今日は＂哲学としての宗教＂を持たない日本人には分かりにくい、世界で約12億の人々が信仰しているといわれるキリスト教について学びたいと思います🔻

今日、ローマはキリスト教の中心地となっているが、かつて、イエスを十字架にかけて刑死させ、300年の長きにわたってキリスト教徒を弾圧し続けてきたのは、ほかならぬローマ帝国であった。

イエスは、紀元前４年ごろ、エルサレム近郊のベツレヘムに生まれたとされるが、北パレスチナのガリラヤのナザレの町に生まれたとする説もある。

『小椅子の聖母』

（1513〜1514）

🇮🇹ラファエロ

Raffaello Santi

🇮🇹ピッティ宮殿パラティーナ美術館

パレスチナは、500年以上の長きにわたって、外国の支配下に置かれ、当時はローマ帝国の属州となっていた。

この他国による蹂躙という屈辱の歴史のなかで、人々は、ユダヤ教徒として、唯一の神ヤハウェを信じてきた。

そして、いつの日か、ヤハウェが救世主（メシア）を送って、自分たちの国土を取り戻し、「神の国」（天の国）が築かれることを信じて疑わなかった。

その間に、ヤハウェの言葉を預かる幾多の預言者が出現し、「神の国」は近いと訴えてきたが、実現されることはなかった。

それでも人々は、願望を捨てなかった。

彼らは、町にローマ風の神殿が建てられ、ユダヤ教の祭司たちまで、ローマの支配者に追従し、妥協していく姿に、憤りをいだきながら、その日を待った。

イエスの前にも、一人の預言者が現れた。ヨハネである。

『洗礼者聖ヨハネ』

（1513〜1516）

🇮🇹レオナルド・ダ・ヴィンチ

Leonardo da Vinci

🇫🇷ルーヴル美術館

彼は叫ぶ。

「悔い改めよ。『天の国』は近づいた！」

その言葉は、イエスの心を激しく揺さぶった。彼は、ヨハネの洗礼を受け、一時、その教団に身を投じた。

ヨハネは、エルサレムの神殿を管理し、祭儀を司るだけの特権階級となってしまった貴族祭司や、律法の観念的な解釈にふける律法学者たちに対し、「まむしの子らよ」等と、激烈な言葉で痛罵した。

そして、叩きつけるかのように、神の怒りと罰とを説いた。

しかし、イエスは、ヨハネに共感しつつも、同化することはできなかったようだ。

彼は、民衆の苦しみを、また、弱さを痛感していたのだろう。イエスのまなざしは、神の愛に向けられていく。

一方、ヨハネは、ガリラヤの支配者によって、捕らえられ、殺されてしまう。

『洗礼者聖ヨハネの斬首』

（1608）

🇮🇹カラヴァッジョ

Michelangelo Merisi da Caravaggio

🇲🇹聖ヨハネ准司教座聖堂附属美術館

イエスは民衆のなかに入り、伝道を始めていた。彼は、神の愛を説き、他人への愛を説いた。罪人にも救いの道を開いた。

そして、「目には目を、歯には歯を」という争いをもたらす考え方を戒め、相手を改めさせるには、自分の心を改めよ、と教えた。

彼は、誰に対しても平等であった。貧しき人にも、病人にも、老若男女を問わず、同じように愛を注ぎ、温かく励ましていった。

さらに、ユダヤ教のモーセの律法も、外から人間を縛るためのものではなく、人間のためのものであることを示した。

民衆は、自分たちに慈愛を注ぎ、愛と正義を説くイエスを敬愛していった。

『マリアとマルタの家のキリスト』

（1654〜1655）

🇳🇱フェルメール

Johannes Vermeer

🇬🇧スコットランド国立美術館

それゆえに、イエスは、司祭や律法学者、モーセの律法の厳格な順守を主張するパリサイ派などの人々の恨みをかうことになる。

彼らは自分たちの権威と立場が、足元から崩されていく恐れをいだき、イエスを陥れようと考える。

聖書（ヨハネによる福音書）には、こんな話が残されている。

ある時、イエスのもとにユダヤ教の律法学者とパリサイ人が、姦淫の現場で捕まえられた女性を連れて来た。周囲には、人々が大勢集まっていた。

モーセの律法では、姦淫を犯した女性は、石で撃ち殺さなければならないとしている。

彼らはイエスに尋ねる。

「あなたは、こうした場合、なんと言うのか」

もし、イエスが「石で撃ち殺すな」と答えれば、律法を破ることになる。愛を説くイエスを、追い込もうというのである。

イエスは黙っていた。

彼らは、しつこく、何度も尋ねた。

イエスは言った。

「あなたたちのなかで、罪を犯していない者が、まず、この女に石を投げよ」

誰も石を投げられなかった。

権威を振りかざす律法学者たちも、陰で罪を犯す偽善者であったわけだ。

『キリストと姦淫の女』

（1644）

🇳🇱レンブラント

Rembrandt Harmenszoon van Rijn

🇬🇧ロンドン・ナショナル・ギャラリー

イエスは、モーセの律法そのものを、否定しようとしていたのではない。

彼は、その律法は、人間の心のなかに打ち立てられてこそ、本当の意味をもつと考えていたのであろう。

たとえば、＂姦淫してはならない＂というモーセの律法にしても、情欲をもって人を見ること自体、同じ罪を犯していることであると、彼は説く。

いわば、律法の精神化、内在化であり、そこには、人間の内なる規範の確立がある。

イエスを敵視する人々は、彼がモーセの律法を冒瀆する異端者であることを印象づけ、民衆と離間させようとした。

また、ローマ帝国に反旗を翻す危険人物に仕立てあげようと画策し、その証拠づくりに躍起となった。

律法学者などが、しばしばイエスに論争を挑んでいるが、それは、そのための巧妙な罠であった。

論争は、彼らが最も得意とするところであり、相手を窮地に陥れる言質を引き出す能力にたけていた。

『シモン家の宴』

（1618〜1620）

🇧🇪ルーベンス

Peter Paul Rubens

🇷🇺エルミタージュ美術館

ある時、パリサイ人などが、イエスのところへやって来た。周りには、イエスを慕う民衆がいた。

彼らは、丁寧な口調でイエスに言った。

「あなたは、正直な方です。本当のことを語って神の道を説き、誰にも遠慮などされないことを、よく存じております。それは人の顔色をうかがうことがないからです。そこで、ぜひ、お聞きしたいのです」

そして、こう尋ねた。

「私どもは、異教人であるローマ皇帝に、税金を納めるべきなのでしょうか、反対に、納めるべきではないのでしょうか」

人々の多くは、ローマの支配に、憤りを感じている。イエスが「納めるべきだ」と答えれば、彼はユダヤ教徒である民衆を失望させることになる。

しかし、「納めるべきではない」と言えば、ローマに反逆し、民衆を扇動しようとしている言質となる。

イエスは、税に納める貨幣を見せるように言い、そこには、誰の像が彫られているかを尋ねた。

貨幣にはカエサル（皇帝）の肖像が彫られている。彼らが、カエサルである、と答えると、イエスは言った。

「では、カエサルのものはカエサルへ、神のものは神に返しなさい」

税は納めても、心は神と共にあれ、との表明である。彼らは言葉を失った。

ローマへの反逆者としての言質を取ることもできなければ、ユダヤの神の道を裏切る異端者として、民衆に失望を与えることもできなかったからである。

イエスは巧みな言論をもって、次々と窮地を切り抜けていった。それは、人々を救わなければならぬという使命感から発した、信念の英知の言といえよう。

つづく

『新・人間革命』第５巻

池田大作

参考文献：

⚫︎『旧約・新約　聖書大事典』

同事典編集委員会編

⚫︎『新約聖書　福音書』

塚本虎ニ訳

⚫︎『聖書　新共同訳』

日本聖書協会

⚫︎『新共同訳　新約聖書注解 Ⅰ 』

高橋虔＆B.シュナイダー監修

⚫︎『キリスト教教父著作集 22 殉教者行伝』

土岐正策・土岐健治訳

⚫︎『ローマ帝国とキリスト教』

弓削達著

⚫︎『キリスト教史 Ⅰ 』

半田元夫・今野國雄著

⚫︎『ガリラヤからローマへ』

松本宣郎著

⚫︎『イエス伝』

J.E.ルナン著、津田穣訳

⚫︎『イエスの生涯』

A.シュヴァイツェル著、波木居齊ニ訳

⚫︎『イエスの生涯』

F.モーリヤック著、杉捷夫訳

⚫︎『イエス』

R.ブルトマン著、川端純四郎・八木誠一訳

⚫︎『イエスの死』

半田元夫著

⚫︎『イエスという男』

田川建三著

⚫︎『イエスとその時代』

荒井献著

⚫︎『イエス・キリスト』

土井正興著

⚫︎『イエスの生涯』

遠藤周作著

⚫︎『新約聖書の女性観』

荒井献著

⚫︎『ローマ教皇史』

鈴木宣明著

SP Thanx

🎨絵画選考 adv.

Sig. ピエトロ・クリスト

🇮🇹SGI - Italy

【グローバルVOICE】クリスティーナ・マルシリ（イタリア） | 創価学会公式世界192カ国・地域で活躍する創価学会メンバーを紹介するグローバルVOICE。イタリアで弁護士をしているクリスティーナ・マルシリさんは、イタリア創価学会の発展の様子を語ります。彼女が入会した1980年代当時、イタリア創価学会は小さな団体でしたが、その後発展を遂げ、2016年にはイタリア政府とインテーサ（宗教協約）...

youtu.be

🇻🇦第266代ローマ教皇フランシスコにSGI長島理事長が謁見

🇮🇹レンツィ首相がイタリア共和国とSGIとのインテーサ（宗教協約）に調印

🇮🇹Grazie❗️😸

イエス（上）