サントリーの「モルツ」缶が3月一杯で製造を終了した。その知らせを聞いた時は寝耳に水で、まるで夏休みが終わって学校に行くと大好きだったあの子が転校してしまっていたようなさみしさ…なんで一言言ってくれなかったんだろう…。
10年ぐらい前にリニューアルして、缶のデザインもおしゃれにして、CMにEXILEを起用し出したときからおかしいと思っていたんだ。やめなさい。柄にもないことするんじゃない。結果的に若者には見向きもされずに、オールドファンも離れてしまったのかな。
イメージってのは案外重要なんだ。
今から37年前、アサヒスーパードライが発売され、空前のドライブームが巻き起こり、キリン一強だったビール業界に革命を起こした。
「辛口」のビール?当時日本酒には辛口や甘口はあってもビールにそんな概念は無かったはずだ。というか、私は今も辛口の定義がいまいちよく分かっていない。甘口があって、それと比較して初めて「辛口」と表現できる訳だ。ビールは苦いもので甘いビールなんて聞いたことがない。
でも、いや、だからこそ、当時の人々は辛口のドライビールってどんなだろう?とみんなが興味を持って飲んでみた。すると、スッキリしていて飲みやすい!辛口の正体は苦みを抑えた飲みやすさのことだったのだ。
スーパードライがヒットした要因の一つに、女性がビールを飲むようになったことがあげられるそう。今まで苦くて旦那の飲み物だったビールが、飲みやすい「私たち」のビールになった。そりゃ売れるよね。
もう一つおもしろいのがスーパードライの「スーパー」これって何と比較してのスーパーなの?つまり、普通の銭湯があってのスーパー銭湯、サイヤ人と比べてのスーパーサイヤ人、ヒトシ君人形があってのスーパーヒトシ君人形なのだ‼️
これは実際に他社から景品表示法違反ではないか!とクレームが入り揉めたらしい。しかしそんなクレームもなんのその、スーパードライは爆発的に売れまくり、多くの国民に愛され続けて今も日本で一番売れているビールだ。
時は流れて、2003年。新たなビールが産声をあげた。「ザ・プレミアムモルツ」。今では定番商品で知らない人はいないけれど、実は販売当初はそんなに売れていなかった。消費者も、モルツの親戚でしょ?ぐらいの感覚だったのだろう。そう、イメージというのは大事なんだ。
そこで、サントリーはウルトラCのイメージ戦略に打って出た。
「モンドセレクション最高金賞受賞」
世界が認めた世界一のビール、なぜなら、あのモンドセレクションの最高金賞を受賞したのだから。最高金賞の香り、コク、余韻…。こんなCMを流しまくった。
するとどうなったか。なんと!世界一のビールを決めるモンドセレクションで最高金賞を受賞したのか!それはきっとすごいことに違いない!是非飲んでみないと‼️と多くの人がプレモルを買い求め、大ヒットを叩き出した。
当時誰もが、繰り返し流れるCMでモンドセレクション最高金賞はさぞすごい賞なんだというイメージを植えつけられたのである。でも実際のモンドセレクションってベルギーの民間会社で、別にここで金賞取ったって世界一でもなんでもない訳。でも今でもプレモルが売れているのは本当に美味しいビールであり、あくまでそのきっかけを作ったんだな。
イメージは大事だ。なので今日からこのブログも「スーパープレミアム満を持してビール!(モンドセレクション最高金賞受賞予定)」に改名すればアクセス数が少しは伸びるだろうか。