「ハダカデバネズミ」初めてこの名前を聞いた時、いくらなんでもやりすぎでしょう、と思った。ウケを狙って大袈裟に言ってんじゃないの、と思った。実際に画像を見た。驚いた。その的確な表現力にである。

 

 

 



 

どう見たってハダカデバネズミだ。

 

けれど、これってネズミが先に発見されたから、彼らがハダカデバネズミになってしまったわけで、ハダカデバネズミの方がデフォルトであれば、裸で出っ歯のネズミがネズミ年には年賀状にプリントされて、ディズニーランドでは、裸で出っ歯のミッキーとミニーが子供たちをお出迎えしていたはずだ。そしてあとから発見されたハツカネズミは、「フクキハナシネズミ」と名付けられていただろう。

 

ハダカデバネズミが発見されるのがおくれたのは地下で生活しているから。この立派な「デバ」で地面を掘って掘って掘りまくるんだって。

 

そして彼らの生活にはミツバチにように厳しいカースト制度が敷かれている。頂点に女王ハダカデバネズミ(30年ぐらいいきるらしい)がいて王がいて、兵隊がいて、底辺には雑用係がいる。雑用係の最大の仕事は「肉ぶとん(肉うどんじゃありませんよ)」である。小さなハダカデバネズミが20匹ぐらいで巨大な女王ハダカデバネズミに覆い被さって「おふとん」の役割をする。

 

もしかしたら、「おれの人生果たして一生ふとんでいいのだろうか…」なんて悲観的になってしまうのではなかろうかと思ってよく見てみたら、ふとんはふとんで、女王様の上で幸せそうにスヤスヤ眠っているのだった。なんだか、人間社会にも通じる部分もあるのではないか。

 

女王や王様になれるひとなんてほんのひと握りである。ほとんどの人は地味で、しょっぱい仕事ばかり任される。でも、偉くなればその座を狙われる危険と常に隣り合わせでもある。それなら気楽な「おふとん」になる人生も悪くないかもなあなどとなんとも可愛いハダカデバネズミを見ながら考えてしまった。

 

ちなみにハダカデバとキーボードに打ち込むと裸でバイクと予測変換された。ヘルメットかぶってのハダカでバイクの姿はなんともシュールでありなんとも寒そうだ。 


参考文献 監修 岡ノ谷一夫 ハダカデバネズミのひみつ