『プロトコールALL B-12』

標準治療でありながら臨床試験である。


前回の記事で、このプロトコールの受付が終わったと書いたのですが、治験者数が定員に達し、治験に必要なデータ数が揃ったということだと思います。




この治験は、維持療法(退院後の1年間の治療)がランダムに2つのグループに分けられる。


『アームA(標準)』
『アームB(強化)』



アームAの場合の治療は、週1回のメソトレキセート(飲み薬)と毎日のロイケリン(飲み薬)

アームBの場合の治療は、アームAの治療に加えて月に5日間のデカドロン(飲み薬)と月1回のオンコビン(注射)が加わる。


デカドロンはストロイド剤。
主な副作用は気分の躁鬱、食欲増進と浮腫み。成長の疎外。

その他の3つは抗がん剤。
主な副作用は骨髄抑制、脱毛、吐き気。




薬を加えることで治癒率が向上するかどうかを検討する治験になるそうだ。


小児白血病は疾患者の少ないため、全国規模で治験データを集めなければ、治験としての必要数が集まらないのだろう。

だから、全国どこで治療しても、基本的には同じプロトコール。



治験では、治癒率や5年後10年後の晩期障害も追うことになるそうなので、治験自体の受付は終わったが、その結果が分かるのも5年後10年後になるのだ。





中間維持療法に入る前日、

次男は『アームB』にふりわけられたことを主治医の先生より告げられた。




正直なところ、

子供にこれ以上強い治療をすることに私は嫌悪感があった。


抗がん剤により免疫力は低下する。

強い治療により、腎臓や肝臓に負担がかかり、晩期障害も出やすくなるかもしれない。

ストロイド剤で身長が伸びないことも懸念される。




『アームB』の強化治療を受けた結果、

治癒率が上がる可能性もあるが、

一方でいろいろなリスクもあるのだ。



最終的にどちらの結果がでるか分からないのである。





主治医の先生に率直に相談した。


アームAを希望したい。

既に8割の治癒率が見込めるのであれば、現時点でこれ以上強い治療を受けさせるのは、晩期障害の方が怖い。

治験を降りた場合、治療はどうなるのか。




先生の回答は


治療に支障が出ない限り、治験は降りれない。

もし降りても、『アームA』の治療は受けれない。

強い治療とはいっても、晩期障害を更に誘発するほどはない。


と説得された。



治験を主導している研究グループとの契約があるので、勝手に『アームA』から『アームB』に変わることも、プロトコールを降りたのに『アームA』の治療を使うことも許されないそうだ。




もちろん、治療の中で、本人の負担が大きすぎると判断した場合には、『アームB』を降りましょうと言っていただき、とりあえずはそのまま進むことにした。