本日からブログを開始します。
私、定年後再雇用で某団体の常勤嘱託で企業からの障害者雇用のご相談をしています。今回から数回に分けて仏蘭西の障害者雇用についてお話します。しばらくお付き合いください。(時たま間にエッセイぽい雑文を入れます。)
昨日、上智大学の永野教授からフランスの障害者雇用の話をお聞きする機会がありました。日本の障害者雇用の仕組みとはかなり違う内容に知的興奮を覚えました。
日本とフランスは共に法定雇用率制度を採用しておりますが、日本の雇用率が2.0%(この4月からは2.2%)なのに対してフランスはなんと6.0%。これだけ見るとフランスが企業に厳しいノルマを課しているように思えますが、実は障害者雇用に関す考え方が全くと言って良いほど違う。
雇用率の対象となる障害者は、日本では障害者手帳を保持している人に限られていますが、フランスでは手帳保持者以外にも障害労働者認定を受けた人なども対象となり、さらに福祉的就労事業所に対して業務発注などしても雇用率の対象となります。
特に、障害労働者認定を受けた人を雇用する企業は7割近くにのぼり、これがフランスの障害者雇用の主流なっているのです。
障害労働者とはどんな人を指すのでしょうか。
たとえば小麦アレルギーの人がパン屋で働こうとすると、制約を受けるため障害労働者認定が受けられます。これが1~5年の有効期間があり、仮にこの人がパン屋を辞めて事務職として再就職したとしても、有効期間中は障害労働者認定が生きているといことになります。しかし、事務職として働いていた場合は次回の障害労働者認定が受けられないことになります。このような人でも障害者としてカウントしているのです。
日本と全然違いますね。
それでは障害労働者はどのように認定されているのでしょうか。国ではなく各県の障害者権利自立委員会(名前がすばらしい)に任せているのです。委員会は医師、労使、障害者当事者、議員など多彩なメンバーで決定します。基本は障害者の権利を認める場なので認定はかなり広め(甘め)に行っているようです。ここで、日本の職業環境を振り返ってみましょう。
日本の雇用は職能給人事で、正社員は終身雇用であるかわり会社の都合で職務の変更が行われます。従って、職務遂行能力を評価する体系となっておりますが、フランスは職務給の世界です。採用には前提として職務がありその職務ができる能力を持った人を選考します。従って、会社が従業員の同意を得ずに職務を変えるということは無いわけです。ですので、まず職業という環境与件があり、その人にとってその職業が働きにくいかどうかで障害労働者認定を行うという考え方になります。
日本のように、福祉的な判定を基礎としている手帳制度をそのまま就労環境に当てはめたものとは全く異なり、職業と本人のマッチングを重視しており真に合理的な考え方だと思います。(たとえば、近視の人がパイロットになりたい、と申し出ると障害労働者認定が降りるかというと、これは常識的にパイロットという職業が高望みであると判断され、障害者労働者認定はされないという事で、社会常識が透徹しています。)
障害者権利自立委員会での判定作業は膨大で時間が相当かかるものように思われますが、フランスでは案外サクサク判定しているようです。というのは、初申請や変更申請などは慎重に議論をしつつ判断するが、それ以外は判定の間口を広く取っておりかなり簡素に判定しているみたいなのです。これは、間違えたって終身影響があるわけでなく、有効期間中の1-5年の間なので、「気楽に?」判定して良いではないかと考えているみたいです。