これまでの話








31話 仙道の狙い


3rdクォーター残り2分を切った。

神奈川 68
秋田  65


神奈川の3点リードで、神奈川ボール。

再び5点差に戻すか。

それとも秋田が凌いで、1点差に詰め寄るチャンスを迎えるか。


宮城がボールを持っている。


三井がスクリーンをかけた。


宮城のカットイン。

ディフェンスをスイッチした松本が、宮城についた。


すぐさま、宮城は三井にパス。

三井のマークは、松本とチェンジした深津。

「三井だ!」「スリーか!?」


三井、シュートフェイク。

深津は引っかからない。

「さすが深津!!見越してるぜ!!!」


三井、ニヤリ。 「やるじゃねえか」

三井はゴール下の仙道へパスを出した。


仙道と河田、インサイドの攻防。

仙道のターンアラウンド。


しかし河田は抜かせない。

「ゴール下は譲らねえぜ。いくらお前が天才でもな」


その瞬間、仙道がノールックで後ろにパスを出す。


河田、驚く。 「なんだと?」


走りこんできたのは宮城だった。

「うわああああーーー!!!!すげえパスだ!!!」

「仙道!!背中に目があるのか!!??」


宮城ドリブルイン。

コレも河田が止めた。

「譲らねえんだよ!」



今度は宮城のノールックパス。


「おお!またノールックだ!!」


ボールは仙道へ。

仙道につくのは深津。


仙道、ゴール下へ押し込む。

深津対仙道、ミスマッチ。



観客席の彩子が気づく。
「あの時と同じだわ」

赤木がうなずく。
「宮城もオレもあいつにやられたんだ」




ピーーーーーーーーーーーー!!!!


「ファウル!!!!黒4番!!プッシング!!!」


倒れている仙道がガッツポーズをとる。


赤木がつぶやく。
「まさにあの時と同じだ。4ファウル…」

安西がニコリ。
「仙道君、試合の流れを読む力も天才的ですね。」



会場全体が驚愕する一大事。


「わああああーーー!!!!!深津4つ目だあああああ!!!!」

「仙道!!!!」「仙道がやったーーー!!!!!!」

「どうするんだ!? 山王!!」


「でも、今の凄かったぞ!!流れるようなパス交換!!」

「何だ今の攻撃は!!? 神奈川は本当に選抜チームなのか?」


神奈川ベンチ。牧が腕組み。
「宮城の選択も良かった。あいつは仙道が深津のファウルを
誘おうとしてたのを理解していたんだ。
だから無理矢理突っ込んで、河田をおびきよせた」

藤真が返す。
「ここで宮城のスピードが生きましたね。高頭監督」

高頭、扇子。
「ふっふっふ」




『メンバーチェンジ!!秋田』


深津、交代。

一之倉が入る。


「交代だ!!深津交代だ!!!」

「山王ピンチ!!!!」




大騒ぎの会場の中、安西が不気味な一言を発した。

「ここから何とかするのが山王というチームですよ。
こういう修羅場を何度経験してきたことか」

赤木、ゾクッ。
「先生…」



3rdクォーター、残りは1分半。






続く





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