これまでの話








30話 膠着の五点差



深津、3つ目のファウル。

神奈川、宮城をコートに送り出す。


神奈川のスローインからスタート。



宮城がボールを運ぶ。

インサイドの花形へ。


「おお!また8番だ」

「神奈川はあそこを起点に攻めるつもりか?」


花形、ポンプフェイクからフェイダウェイショット。



ザシュ!!



「ああああ!!また決めたあああ!!!」

「上手いぞ!!あのセンター!」


河田がつぶやく。
「赤木とは違うタイプだな…。パワーは赤木が上だが、
コイツは技がある。“柔”のセンターだ」


続いて、秋田の攻撃。

深津のポストアップ。


高頭がうなずく。
「やはりそこで来たか。宮城とのミスマッチをつく作戦だ。
夏の湘北戦でも見せた展開だな」


ボールは深津へ。

深津、身長差を生かしてインサイドへ押し込む。

ターンからジャンプショット。



ザシュ!!


「おおお!!!!深津のインサイドプレイ!!」

「11番じゃ身長差がキツイんじゃないか?」



そして秋田のゾーンプレス!!


宮城がささやく。
「ファウル3つか。激しく当たって大丈夫かい?」

深津は無表情。
「もうやらないピョン」


スローインから、ボールが宮城に渡った。

深津と沢北が宮城を囲う。


宮城、もうひと言。
「ホントは4つだよな。見てたぜ。牧の手、叩いたろ?」


「!?」 深津、一瞬ビックリ。


「さいなら!!!!」


宮城、低いドリブル。一瞬でダブルチームの間を抜く。

「おお!!宮城、抜いた!!!」


ボールは宮城から仙道へ渡る。


三井、神が走りこんできた。



仙道はどちらにもパスを出さない。



すぐ後ろから宮城が走りこんだ。


ここで仙道からボールが供給される。


一気に突っ込む宮城。


「宮城、速い!!!!!」



河田がブロックに飛んだ。 「甘いわ!!」


宮城、外へパス。 外で待つ神へ。


神のスリーポイント!


ザシュ!!!



「うわああああーーー!!!!!神来たーーーー!!!」

「全弾命中だああああ!!」

「5点差!!!神奈川リードを広げたぞ!!!!」


神奈川ベンチで牧が笑う。
「なるほど絶好調だな。よく入るぜ」


三井、ボソっとつぶやく。
「あの野郎、なんでオレに出さねえんだ。オレもフリーだったのに…。
大学推薦が遠のくじゃねえかバカヤロー」




試合はこのまま進んだ。

この5点差を保ったまま、互いに得点を重ねる。

差は埋まらない。そして広がらない。堂本は焦らない。


会場も理解している。


――――印象では神奈川が押しまくっているように感じるが

実は点差はそれほどじゃない……

秋田は流れを待っている―――――――


いわゆる膠着状態だった。

点は取り合うものの、試合は動いていない。

深津のオフェンスチャージをきっかけに5点差を付けた神奈川。

しかし、それ以上放させない秋田。


まさに膠着。勝負は最後の10分か?




このまま3rdクォーター終了かと思われた、残り2分…


仙道が魅せる。





続く




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