これまでの話









29話 三井、ビッグプレイ





神奈川の攻撃。

牧がカットインで切れ込み、神へパス。

しかし、これは松本が読んでいた。スティール!


「おお!!さすが松本!!」


秋田の速攻。


松本、沢北と渡り、前を走る深津へ。

牧が深津についた。

「ここは抜かせねえ」



その横を松本が走る。

「深津!こっちだ!!」


深津は一瞬松本へ視線を送った。

牧が、松本を見る。


その瞬間、深津は牧を抜いた。


「うまい!!!!!」

「さすが深津!!」



次の瞬間。



ドン!!!!!




「オフェンスチャージ!! 黒(秋田) 4番(深津)!!!」


コートに2人の選手が倒れている。


焦りの表情を浮かべる深津。

そして、ニヤリと笑う三井。


「うわああああああああ!!!!!!チャージだああ!!」

「深津、3つ目!!!!!」

「7番!!!!」 「三井がやったーーー!!!!」


深津のドリブルコースをふさいだ三井。

深津が松本へ視線を送ったその刹那をついた、カバーリングだった。

三井とぶつかった深津に3つ目のファールが告げられる。



まだ第3クォーター開始3分。試合はあと17分も残っている。

深津はあと2回のファウルで退場となってしまう。


しかし、秋田ベンチは動かない。


堂本がつぶやく。
「いま、深津を代えることはできない」



観客席で安西が笑みを浮かべている。
「三井君、素晴らしいプレイだ。この試合一番のビッグプレイかもしれない」

赤木が微妙な表情を浮かべる。
「大学が……」


神奈川ベンチ。

藤真が高頭に話しかける。
「深津、3つです。まだ17分残っている」

高頭が立ち上がった。
「ここで仕掛けよう」



「宮城!」



神奈川最速の男に声がかかった。



『メンバーチェンジ、神奈川!』



牧がベンチに下がる。

背番号11がコートに入ってきた。


「おおお!!牧が下がったぞ!!」

「11番!!湘北の宮城だ!!」




高頭からの指示はただ一つ。


「思い切り走ってこい」





神奈川ボールで試合は再開された。





続く




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