えー、ご存知の方はご存知のことですが、私は2016年に乳癌とわかって手術になりました。
当時、夫はまだスーパーマーケットに勤めている会社員、長男は就活で内定をもらったのであとは卒論だけ、次男は二十歳になったばかり、そして義母は要介護状態でした。
この状況で私が死んだら、息子たちにどれだけ負担がかかることか…




まだ死ぬわけにはいかない‼️
という強い思いで、さっさと検査や入院手続きを済ませて、義母に(ショートステイの予約が取れなくて)レスパイト入院してもらって、右胸の切除&背中の肉と皮膚を胸に移植する手術を受けました。
入院中に息子にも言ったんですが、「あなたたちの身に何かあるよりずっとマシ、痛いのが私だけで済むし良かった」…そんな感覚でした。
そして、そういう「家族への思い」とは別に、私の中で強かったのが「羽生くんが平昌で連覇するのを見るまで死にたくない」という思いでした。
当時は「家族のことだけで頭いっぱいになってもおかしくないのに、何故こんなに羽生くん(とか、タイガースとか、シリーズものの小説の続きとか)のことを気にかけているんだろう?」と、我ながら不可解でした。(⌒-⌒; )
今ならわかる気がします。
家族のことはどうしたって、責任がついてくるんですよね。
義母の介護も、家事労働も、夫との老後も、息子たちが一人前の社会人としてやっていけるかどうかも…
たとえその後、どれだけ楽しみなことがあっても、家族に関わることでは責任を感じてしまうのでしょう。
でも、応援しているアスリートの活躍なら、読んでいた小説の続きを読むことなら、自分は楽しむことだけを享受できるんです。
嫌になれば放棄しても構わない、私が応援しなくてもアスリートは試合に出場するだろうし、私が読まなくても書籍は出版されるだろうし。
こんな、自由な立場で、楽しみだけをもらえる…
そんな、「楽しみだけのもの」も将来の夢として思い描かないと、現実にだけ向き合っていたら心が折れていたかもしれない…
そういうときって、あるのかもしれないなと。
…………
手術後、主治医の先生からは、同じ手術をした患者さんたちの中で一番早いペースで回復していると言われ、驚きました。
羽生結弦選手のスケートを
また見たい❣️
この思いがあるのとないのとの差って、こんなに大きかったのかと。
乳癌の手術の5年前に、卵巣嚢腫で手術を受けたときには、予定よりも入院が長引いたんですよね。
そのときとの差は、羽生結弦選手のファンになる前か後か、だったんです。
羽生くんへの応援意欲が、私の回復をそんなに早めたのか…
ファンになっただけで、こんな恩恵を受けていいのだろうか?
なんて思いましたわー(^◇^;)
…………
当時の私が思い描いていた羽生くんの将来像は、
平昌オリンピックで連覇して引退、
プロになってアイスショーに出演して、
いずれは指導者になるのだろうなと。
それは寂しくなるかもしれないけど、ご本人が望む道を進んでいけるなら、ファンとしてはそれを応援するしかありませんよね。
でも、できることならなるべく長く、プロとして活躍する姿を見ていたい。
叶うことなら一度でいいから、現地でそのスケートを見てみたい。
そう願ってました。
…………
現実は厳しいものですよね。
望んだこと、願ったことが叶うなんて、そんなにありません。
まして、願っていた以上のことになるなんて、私にとっては、羽生結弦選手のプロ転向後の活躍くらいしか、経験したことありません〜
想像してましたか?
YouTubeでスケート映像を見せてくださることを。
単独アイスショーを開催してくださることを。
東京ドームでアイスストーリーを見せてくださることを。
宮城県で鎮魂のアイスショーをしてくださることを。
私には、平昌オリンピックで連覇を達成したあとの羽生結弦選手の試合は、ご本人の気が済むまでの期間しか見られないものだという意識がありました。
いつ引退してもおかしくない、できればそれは選手生命に関わるほどのけがでそうせざるを得ない状況にだけはならないで欲しい、羽生くんが「もうここまで」と選んだときまで選手生活を全うしてもらえたら…
それが叶って、しかも引退ではなくてプロ転向で、さらに爆速でそのスケートの真価を見せてくださる…





こんな、願いよりも高いレベルで叶った願いを何と呼べばいいのでしょうね?
羽生くん、ありがとうございます。
これを見られただけでも生きていて良かったなー
と思えるスケート。
何回も見させていただきました。
ヘルシンキホプレガで。
平昌オリンピックで。
全日本天と地とで。
ストックホルムレミで。
全日本ロンカプで。
北京オリンピックEXで。
試合で、EXで、24時間TVで、アイスショーで。
そして、プロになってからのいくつものプログラムで。
まだ見たい、もっと見たい、だから頑張ろうと思えるスケートを見せてくださったから、明日も元気でいられるようにします❣️
読んでくださってありがとうございました。