これはフィクションです。


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またなのか。


彼はため息をついた。


彼について、正式な取材に基くものではない記事が出るのは、これで何回目だろう。


もう数えることさえしなくなったそういう妄想や想像や嘘だけの記事は、彼が活躍するたびにその感動に水をさすように出てくる。


最近ではその傾向まで読めるようになってきた。


彼をどこかの事務所に所属させようとか、

彼がこの地に住みにくくなるようにとか、

彼を応援する支援者たちを減らそうとか、

そんな意図を感じるものが何度も出てきた。


そのたびに、屈しない彼を邪魔だと思うモノたちが蠢いているのだと感じていた。


それにしても、彼がこの地から離れることに、何の意味があるのだろう。


彼は以前、異国に何年も居た。


そのときと今とでは、何か違っているのだろうか。


それとも、一度彼をこの地から追い出したつもりでいたのに、舞い戻ったと腹を立てているのだろうか。


彼がこの地にいることで、彼に会いたいと望む者、共に何かを成し遂げようとする者はこの地に来た。


夏の王者も、冬の仲間たちも、取材や撮影を望む者も。


そして彼の支援者たちも、この地を訪れ観光し名残を惜しんで帰っていくのだ。


彼はその思いを受け取り、氷上舞で結界をはっていく。


この地へ、悪事を企む邪なモノを寄せつけないように。


そうか、それが邪魔なのかもしれないな。


彼は一人頷く。


そして今日も、その身にまとう「想い」を力に替えて闘うのだ。


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これはフィクションです。


読んでくださってありがとうございました。