私の受けた印象と憶測です。
羽生くんの単独アイスショーはこれまで、プロローグ、GIFT、RE_PRAYの3通りがあったわけですが。
新たなアイスショーを作り上げるたびに、違う視点が加わっているように感じるんですよね。
①プロローグはCWWの単独バージョン、「羽生結弦選手物語」&ファンミーティング的なものという位置づけなのかな?と思いました。
羽生くんのこれまで、アマチュア選手だった頃の記録と記憶、そのときの代表的なプログラム、6分間練習からのフリープログラム実施、スクリーン映像から引き継いでのプログラム実施、三味線の生演奏とのコラボ、新プロ&プロジェクションマップ…
トーク、質問コーナー、リクエスト、バングル…
羽生くんのファンが見に行って、羽生結弦のスケートを堪能するアイスショーだった感じで。
アマチュア時代の振り返りと、プロとしての活動のプロローグとしてのワクワクと、ホーム空間のあたたかさと。
②GIFTはもっと大掛かりな、私にはどなたが発案者なのかはわかりませんが、東京ドームという場所にリンクを作ってまでそこでアイスショーをするという…
かなりのプロジェクトだったのだろうなと。
どなたがどの時点でそのプロジェクトに参加なさったのかわかりませんが、東京フィルさんや武部さんが生演奏してくださったことで、東京ドームの広い空間が活かされていたのではないでしょうか。
そして、羽生結弦選手の単独アイスショードーム公演という位置づけにとどめらず、日本から世界に向けて発信された新たな芸術&エンタメでもあったのだと思います。
アマチュア時代のSP、フリー、EXのプログラムに加えて新プロが2つもあって、音楽も、聴き慣れた録音された音源、聴き慣れたはずなのに生演奏?あれ?という音源、さまざまな形がありました。
スクリーン映像もプロジェクションマップも、シンクロライトも加わってました。
MIKIKOさんの演出を東京オリンピック開会式で見たかった層にとっても、GIFTは見応えのあるもので、これが現在の日本の芸術だと思えたのではないでしょうか。
そしてGIFTは羽生結弦選手物語&人類の普遍的な問いかけ、その二重構造になっているようなので…
羽生くんご自身の生き方を重ねて見るのも、見る側の思いを重ねて見るのも、自分の知る他の誰かを思い浮かべて見るのも、できると思います。
③RE_PRAYは羽生結弦選手物語ではない、と「制作総指揮の羽生結弦」さんご自身がおっしゃってましたけど…
どうしても重ねてしまいますよね?(⌒-⌒; )
羽生くんが作ったものを羽生くんが演じているんですもの〜
羽生くんの物語、見る側の物語、そこに今度はゲーム世界の物語が加わりました。
しかも、そのモチーフとなったゲームは1種類だけじゃなくて…
少なくとも3種類のゲームの世界観が組み込まれているのかな?それとももっと?
物語の世界観&ゲームの世界観&表現者としての役割&総合的にまとめる能力&受け止める側に何重もの意図を感じさせる深さ。
これだけのものを創作できるって…
(^◇^;)
あと、RE_PRAYは前半と後半の差で、世界観の違いを視覚的に見せているのかな?と思う部分もありました。
髪型は、前半では右側をあげて固めていた?
それを後半では、ナチュラルにしていた気がします。
これは、逆なら後からセットするだけで終わるでしょうけど、セットした髪をナチュラルにするには一度洗髪しないといけないのでは?
楽にできるほうにしない、物語の世界観に合わせた演出の一つだったのだと感じました。
動きについても、とりへびは真っ直ぐに動くような振り付けをされたプログラムということですが、私には、破滅もある程度その「真っ直ぐ」が意識されてるのでは?と感じました。
(レイバックではない)イナバウアーと、ハイドロブレードが、それぞれ…いつもの?羽生くんのプログラムで見るようなエッジの軌道じゃなくて、もっと…弧を描いてはいるけど、その半径が大きくなっている感じ?と見えたので。
聴覚的にも、後半はピアノだけの音源でしたし。
その、前半と後半の対比を考えるアイスストーリーにもなっていたのでしょうね。
…………
これだけ多角的に、さまざまな見方ができるアイスショーを「たった一人のスケーター」で作り上げるなんて…
と思うけど、逆を言えば、たった一人だからできたのでしょうね。
何しろ、世界最高のスケーターの能力を知り尽くす方が考案して実施したアイスショーだったんですから。
他の誰かに「このプログラムはやってね」と任せてしまったら、世界観は保てなかったかもしれませんので。
こんな形のアイスショー、アイスストーリーは、世界でも初、そして唯一無二。
その世界観に触れられる幸せを噛み締めて。
…………
羽生結弦選手が健康で、思い描くスケートができますように。
読んでくださってありがとうございました。