これはフィクションです。


コントでも童話でも、風刺でもパロディでも、お好きなように読んでくださいね。


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ある領地の子どもの作文


『領主さまのお城の若様は、とても賢くて強いんだそうです。

ある日、町の学校で一番優秀な生徒さんが、若様のご学友としてお城にあがることになりました。

しばらくしたらそのご学友さんは、都に行くことになりました。

若様はまた別のご学友さんと学ぶことになりました。

けれど今度は、あまりお勉強をしない生徒さんがお城に上がりました。

次は、強いと評判のお侍さんが、お城に上がりました。

だけどそのお侍さんは、すぐに都に行くことになりました。

そしてお城には、あまり強くないお侍さんがお城に上がりました。

若様はとても賢くて強いそうです。

だから都へは行かずに、お城にいるのだそうです。

どのくらい賢くて強いのか、僕がもっと大きくなったら会ってみたいと思います。』


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担当教師の独り言。

「ちゃんとお世辞を言えるようになってからじゃないと、お城へは上がらせられないな」


お城の中の一コマ。

「いてて、わざと負けるってのも結構キツイ〜」

「大変だなぁ、俺は勉強できないフリするだけでいいけど、剣の相手は負けるのも命がけだよなぁ」


国境の向こうでは。

「あの領主がバカ殿…いや、若殿に代替わりする頃が狙い目だぞ」

「頭も悪い、剣の腕も全然」

「優秀だと言ってくれるやつしか城に入れないらしい」

「君主にまで、あのバカ殿はあまりに使えないやつだから、領地だけ守っておれと言われたらしい」

「領地だけでなら優秀な若様でとおるそうだからな」

「もっと優秀な人間は都にやったんだとさ」

「領主も、親バカでさえなければ…」


さて、数年後、この領地には国境を越えて攻めてくる隣国が、ありや?なしや?


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違うお話。


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ある学校の生徒が、ストレスから体調不良に。

担任教師が、クラス内で何かなかったか聞き取りする。


「あまり打ち解けないやつだからさあ、仲間じゃなかったけどさあ、イジメたりはしてないぜ」

(仲間はずれにして陰口言っていただけで)


「受験のストレスとかはあったんじゃないでしょうか」

(あんな優秀な成績だと妬まれることは多かっただろうな)


「他校生から告白とかされてたみたいだし、恋愛トラブルかも?」

(噂だけどさ、他校からわざわざ来るって相当よねー)


「家庭で何かあったのでは?」

(冗談じゃないよ、学校で何かあったなんてことになったら内申に響くじゃん)


教室内での聞き取り報告

イジメはなかった。

受験ストレスはあったようだ。

他校生との恋愛沙汰でもめた可能性あり。

家庭環境にも要注意。


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発言していない生徒の内心。

「あんな聞き取りでわかるわけないだろ?イジメてたやつがやりましたって言うかよ。ま、オレには関係ないし。SNSで勝手な憶測で話すくらい、よくあることだよな。大人だって相当やってるんだし。知ってるんだぜ、できの良い人間ほど叩かれてるってことくらい」


別の生徒の内心。

「優秀だと妬まれて、あることないこと勝手に呟かれちゃうんだなあ。あんまり嫉妬されないように気をつけよっと」


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さて、このクラスに問題があったかなかったか?


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これはフィクションです。


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ここからは実話です。


国の代表として五輪に出場して闘い抜き、

諸外国から絶賛されて、

国内外で大人気のメガスターがいます。


それを妬んでなのか、

その人気のおこぼれにあずかれないことを恨んでなのか、

ないことないことばら撒いて、

ゴミ記事で稼ぐバカタレ週刊誌と、

ヤフコメで憂さ晴らしするだけの輩…


それを放置するような社会でいいのか?

そんな、SNSでの「言葉での集団リンチ」を見ている子どもたちには、どんな影響があるのか?


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自分がお山の大将でいるために自分以外の優秀な人材をよそにやろうとする「頭の軽いみこし」を担ごうとする限り、その領地に踏み込まれる可能性があると、わかってないのでしょうか…


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一流の方を高く評価するのは、一流の方だけなのかも。


私には一流の方を評価することなんて、できません…


あまりにも遥かな高みにいらっしゃる方を見上げて、感嘆して心酔するばかりで、その高さを測る術を持ち合わせてませんので。


でも、萌えることはできます〜❣️


読んでくださってありがとうございました。