羽生くんはどんどん先に行ってしまうんですね。


「これ(だけ)で終わるのはもったいない」


何度、そう言われましたか?


たぶん羽生くんがプロに転向したときも、もう試合に出ないなんてもったいない、まだ勝てるのにと言われませんでしたか?


次のオリンピックでも(出場すれば)メダルが取れるのに、もったいない…と。


けれど、どうですか。


プロになった羽生くんは、枷も鎖も檻もない世界で悠々とその翼を広げて飛んでいるかのようです。


もう、あんなにがんじがらめに縛られて身動きできなくなるような、アマチュアの時代に戻って欲しいなんて(少なくとも私は)全く思いませんね。


プロになって単独アイスショー「プロローグ」をしたときも、5公演で終わるなんてもったいないと言われましたよね。


実際のところ、プロローグのラストに「GIFT東京ドーム」というパワーワードが出てこなかったら、ノッテステラータの開催も決まってなかったら、「プロローグを続けて欲しい」と望むファンの声はもっと大きかったはずです。


羽生くんにとってプロローグは本当に序章に過ぎなかったのであって、本格的に始動したのはこのGIFTからということになるのかもしれないというくらいに。


GIFTは日本の最高の、そして最先端の芸術が、羽生くんの制作総指揮の元に結集した「総合芸術」で「エンタメ」で「スポーツとしてのフィギュアスケート」をも見せる、この上ない極上の贅沢なものでした。


なので、GIFTを見た後ではもっとプロローグの追加公演をして欲しかったなどという声は、ファンからは出ていないと思います。


そして、GIFTも1回きりなんてもったいないと言われてますけど…


ノッテステラータを見てからも同じことを言えるでしょうか?


おそらく、これから先、少なくとも「羽生結弦監修」のアイスショーを見たら、これまでのものへの愛惜など吹っ飛ばすほどの強烈な印象を受けて、またこれを見たいと望むことになりそうな気がします。


羽生くんにとってフィギュアスケートで表現するものは、やってもやってもまだ足りない、次から次へとアイデアが湧いてくる、やりたいコンセプトがいくつもある、今の状態にとどまっていられないくらいに「次に進みたい」と望んでやまないほどのものではないでしょうか。


羽生くんご本人の発案、羽生くんへのオファー、その両方を合わせると、この先数年くらいは新たなアイスショーを毎年やってもおかしくない気がします。


また、私が勝手に思っているだけかもしれませんが、毎年の恒例にしたいものもあるのでは?


ノッテステラータなんて、毎年3月に東北で行うという計画になっていてもいいと思いますし。


羽生くんがこれまで培ってきた人脈で、スケート界以外の芸術家の方たちとのコラボを立ち上げる可能性もあるでしょう。


あるいは、CWWの逆バージョン、羽生くんが受け継いできたものではなくて、羽生くんから受け継ぐ意志のあるスケーターさんとのアイスショーということも考えられますし。


既存のアイスショーへの出演オファーもきているでしょうね。


そうなると、東京ドームGIFTがいかに素晴らしいものであっても、また同じものをというのはかなり無理な話になるのかも。


むしろ、汲めどもつきぬ泉のような「やりたいスケート」のアイデアの宝庫である、稀代のパフォーマーでクリエイターの羽生くんを「同じアイスショー」に留めるほうがもったいないということになるのではないでしょうか。


そして、これから先、アイスショーを盛況にするためには羽生くんの力が必要ということはあっても、羽生くんにとって既存のアイスショーへの出演は必要不可欠ではないと周知されたのでは?


プロローグもGIFTも、他のスケーターさんたちなしで完走しちゃいましたから、ねえ…


スケート界の衝撃がどれほどのものだったか、推して知るべしですね。


だから、まあ…


スケート界からの反応のなさは、羽生くんがスケート界を頼りにしなくてもやっていけることに対して、「これから先どうしよう」と途方に暮れている人たちの茫然自失状態なのかもと思います。


沈みゆく船から逃げ出しそこねた人たちがどうなるかはわかりませんが、自力でどうしようか考えて道を切り拓く選手も必ず出てくるでしょう。


特に、この比類なき開拓者でGOATでクリエイターの羽生結弦選手に憧れて、その背中を追ってきたのであれば。


読んでくださってありがとうございました。