妄想です。


理想が現実となった、未来のフィギュアスケート界ということで。


フィクションとしてお楽しみくださいませ☆


…………


2022年7月に羽生結弦選手がプロに転向してから、早10年が経つ。


その間のフィギュアスケート界の激震とでも言いたくなる変貌ぶりは、まさに、GOATがプロスケーターとしてもたらした改革の嵐だった。


とは言え、羽生選手は実際には何もI○Uや各国のスケート連盟、もしくはIO○などに働きかけたわけではないのだ。


羽生選手がしたことは、ひたすら「アマチュアの試合では不可能なレベルのスケート」を追求して、それを世界に見せ続けただけだった。


それが何故、無理だと思われてきた「I○Uを真っ当な組織にすること」に繋がったのか?


そこには、誰しもが望んでいた、因果応報の論理が潜んでいたのかもしれない。


羽生選手がまず行ったのは、できないだろうと思われていた単独のアイスショーだった。


その大成功は、アイスショーの業界の改革の第一歩に過ぎなかったのだ。


それでなくてもコロナ禍で経済が落ち込み、エンタメ業界は汲々としていたのではあったが、特にその頃のアイスショーときたら、高額なチケット代に見合わないものが乱立しており、閑古鳥と仲良くしていたのだ。


ただ1人、羽生結弦選手が出演するものを除いては。


当時、他にも盛況なアイスショーはないわけではなかったが、メンバーが固定されているなどの特殊な事情があるものだったりして、プロアマ問わず「アイスショーに出演することで(活動費などを)稼ぎたい」と思うスケーターが、ちょっと参加できるというものではなかった。


つまり、それでなくても

○閑古鳥が鳴くようなもの

○参加が難しいもの

○唯一、稼ぎどころの「羽生結弦選手出演」のもの

の3極に分かれていたところに、さらに

○大成功の羽生選手単独のもの

も出現したのだ。


これから先、羽生選手出演のアイスショーに自分が出演できる見込みは、どのくらいあるのだろう?


各スケーターが、自分の未来を不安に思っていた。……………


そして10年の間に、アイスショーもスケーターもかなりの淘汰が進んだ。


「羽生結弦選手が認めたスケーター」以外はほとんど出演することのないアイスショーは、今でも盛況で存続している。


そして、実力や実施に見合わないメダルを持っていても、そこに呼ばれなければ稼ぐ場所に困るということなのだ。


メダルだけを頼りに出演しようとするスケーターにはやんわりと、「それだけの実績のある方は、ご自身でアイスショーを立ち上げるほうがよろしいでしょう」と羽生選手が断った…という噂がまことしやかに語られているが、真実のほどは定かではない。


だが、それまでも何度も、ナショナルバイアスはじめ偏向採点が囁かれてきたフィギュアスケート競技には、このあたりから各方面からの分析のメスが入ることになる。


何しろ、羽生選手とアイスショーで共演するスケーターは、実力があるのに実績が伴っていない。


そして、実績はあっても実力を伴わないスケーターは、呼ばれることはないのだ。


この歪みを見つけて、何故こうなったのかを発表すれば、必ずそれを活かしてくれる人物が現れるはずだと。


功名心に迅る新進気鋭の若い研究者たちが、こぞって映像を解析した。


あとはもう、雪崩れの如く。


不正や依怙贔屓が芋づる式に暴露されたのだ。


羽生選手自身が手掛けた、大学時代の卒業論文にもまた脚光が当たることになった。


採点制度はI○Uが不正のできないものに改正され、また、査察なども随時行われることになった。


誰が思っただろう?


ただ1人のスケーターがプロとして、アマチュアよりも高いレベルのアイスショーを見せ続けることで、難しいと思われていた改革が成し得るなどとは。


そしてそれは、真っ当な競技としてのフィギュアスケートを愛している、全ての選手、関係者、ファンの望んでいたことだったのだ。


…………


これはフィクションです。


こうなってくれたらいいな、と思う未来予想図です。


読んでくださってありがとうございました。