羽生くんの話はあれこれ新しいものが出てくるんですが、空気読まずに行きます〜
あ、いつものこと?
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何というか、フィギュアスケートを見ていると、その世界観に惹きこまれていたなと感じるときがあります。
まあ、羽生くんのスケートだと、ほぼ毎回なんですが。
他のスケーターさんでも、ありますよね。
たぶん、そのスケーターさんの一世一代の出来栄えのときには、そういう感覚で見ていたということがあったのではないでしょうか。
オーサーコーチのおっしゃっていた「マジカルモーメント」とか。
他にも…
オーラがある、
空気を支配する、
カリスマ性がある、
ゾーンに入っている、
華がある、
存在感がある、
そういうときの言い回しも色々ありますけど。
カリスマ性があるスケーターさんは、その場を自分の描くスケートに染めてしまう感じがありますよね。
そして羽生くんはそういう力が、群を抜いている…桁外れなのだと思います。
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お芝居とかだと、その世界の中で生きているという感じがないと夢中になれません。
映画、ドラマなどを見ているときに、ふと、冷めてしまう…覚めてしまう?と、もう、その物語の世界観に戻れなくなったりしませんか?
あ、この役者さん、この前離婚騒動があった人…とか。
なのに相手役さんとは、仲睦まじいご夫婦を演じているなぁ〜なんて思うと、もう、そのお芝居の中の世界観に浸れなくなるんです。
時代劇なのにヘリコプターが飛んでいたとか、電線が映っていたとか、昭和くらいだとわりとあったのかもしれませんね。
(^_^;)
とにかく、見ているほうがその世界観に浸るのを邪魔しちゃいけないんです。
下手な役者さんがいると、なんだかちょっと…
ということになるのも、物語世界に入り込めないからなんですよね。
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その世界観に自ら入り込み、見ているものをそこに誘う…
フィギュアスケートは僅か数分のプログラムで、それをやるんですから。
スケーターさんの力量で差があるでしょうね。
アイスショーやEXだとその力量の差がそのまま表れますけど、試合だとちょっと違ってくるときもあるんですよね。
試合そのものの雰囲気、独特の緊張感、空気感の中でノーミスすると、「それを待ち望んでいた観客が自分からその世界観に引き込まれにくる」ということが発生します。
また、難しいことに挑戦している、自分のキャリアを懸けてその試合に臨んでいる、敵わないかもしれない強敵に挑んでいる、そういうときにも…
観戦者が成功を願って応援したり、自分からその世界観に入り込みたいと望むことがあるのではないでしょうか。
だから、試合で好成績を上げると人気が出るんです。
特に、ノーミスの「観戦者の集中を切らさない」演技ができたときには。
そうすると、羽生くんが台頭してくるまでは、女子のほうが人気だったというのも、何となく納得しますよね?
トップ選手たちの中で、上位に行けば行くほどノーミスの演技を披露できたという場合が多いですから。
次から次へと、出てくる選手たちがみんな、それぞれの個性を光らせるプログラムを携えて、「私が見せるこの世界観はどうですか?」と、やるんですから。
どれも素晴らしい、甲乙つけ難い、全員に優勝やメダルをあげたい、そういう最終グループが見られたら嬉しいですものね。
(2005年の全日本選手権の女子は、1〜5位までそんな感じだった気がします)
あの感動をまた味わいたい、そう思って次の試合も見ることを望んだりすることもあったのかも。
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男子だと、クワドや3Aを跳ぶぶん、そういう闘い方にはなかなかならなかったと思います。
それでも、難しいジャンプに挑戦してノーミスだったり、そのときにもっとも良かった演技をした選手に軍配が上がる、という感じで、それはそれで見応えがある闘いだったのではないでしょうか。
そういう、試合という特殊な場での、いわば「のるかそるか?」に、ゾクゾクして引き込まれていくことがあると、そこで良いパフォーマンスができた選手の人気が上がるというのはわかります。
ただ、その「試合で観戦者が感じた高揚感」は、その場で見たものと得点や順位が掛け離れ過ぎていると、すぐに水を差されてしまうんですよね。
相乗効果というものがありますから、ノーミスの素晴らしい演技が何人も続いて、その選手たちが全員自己ベストだったりすると最高に盛り上がるでしょう。
でも、その中で「でもあれは、ちょっと点数出すぎなんじゃない?」と思うものがあると、素直に感動できなかったりするんです。
「あの程度でこの高得点」と観戦者に思わせたら、その時点でせっかくの「素晴らしいものを見た」という感動が割り引かれてしまいます。
逆に、想像したよりも低くなっていると、自分の感動を否定された気がするので、こちらも楽しめなくなります。
採点の迷走は、誰にとっても良い結果はもたらさないと思います。
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EXやアイスショーには、試合の緊張感や雰囲気がないので。
また、ノーミスの素晴らしい演技のあとで、「あれに勝つにはもっと凄いものが必要」と選手本人も観客も思っている、ということもないので…
その場でのパフォーマンスでどれだけの観客を引き込めるか、魅了できるか、スケーターさん本人の実力と実施が全てになるのでしょうね。
もちろん、照明などの演出や、衣装や音楽などもその世界観を作るのを助けてくれるでしょうけど…
それに頼ってばかりいる、もしくは、それに頼っても観客を引き込むこともできない、というのではスケーターさんはちょっと自分に必要なものは何か考えるほうがいいでしょうね。
何もそういうものがなくても、練習着でBGMが鳴っている中で、別のプログラムを脳内再生音楽で滑れる方もいると知ってますので。
しかも、オリンピックでのフリーをノーミスでやった直後に。
その上、リクエストに応えてなんですよね、あれは。
羽生くん…
これまでのプログラムを全部、音源なしでもできるんですか???
これを天性のスケーターというんでしょうね。
羽生くんのスケートだと、引き込まれてしまうわけです。
羽生くんのスケートには、その場に音楽がなくても、音楽の魅力が詰め込まれているんですから。
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羽生くんのスケートを見られる幸せをありがとうございます。
色々と、続けることが難しい時期も乗り越えてくださったこと、それを支えてくださった皆様にも感謝しています。
次に見られるスケートは、どんなプログラムなんでしょうね。
楽しみにしています。
読んでくださってありがとうございました。