羽生くんのプロ転向を受けて、ファンの方たちがISUの採点についてあれこれおっしゃっているようですが。


ちょっと、気になったんですよね。


基準通りに採点されていない、羽生くんにだけ渋い、一方で激甘採点されている選手たちもいる、ナショナルバイアスが羽生くんにだけ逆に働いている、適用範囲が曖昧な羽生くんにだけ作動するシリアスエラー…


そういった迷走が始まったのが、平昌オリンピック後、と思っている方たちがわりといるのかな?と。


私は、ヒストリカルレコード330.43を出した2015年GPFの後からと思っています。


このGPFの時点で、男子シングルトップ選手たちのベストスコアがどのくらいだったか、憶えているでしょうか。


SPだと、こうなります。

羽生くん・110.95

Pチャンさん・98.52

テンさん・97.61

フェルナンデスさん・96.42

ボーヤンくん・95.64

ハンヤンくん・90.14

宇野くん・89.56


私の手元にあるスケート雑誌には、ベストスコアが載ってない選手もいますので…


ボロノフさんとかコフトゥンくんがどのくらいだったかわからないんです〜


でも、およそ90点前後だったのではないでしょうか。


町田さんや高橋さんが90点台後半。


誰も、羽生くん以外100点にも達してませんよね。


次は、フリーのベストスコアに行きます。

羽生くん・219.48

フェルナンデスさん・201.43

Pチャンさん・196.75

テンさん・191.85

宇野くん・190.32

小塚さん・180.79

ジェイソンくん・176.69

ボーヤンくん・176.50

村上大介さん・173.61

無良さん・173.24

ハンヤンくん・172.13


SP、フリーともにその選手たちのベストスコアなので、小塚さんのとかはわりと前の試合のものだったりします。


けれど、その分、その選手が最高のときに出した得点ということになりますよね。


どう思いますか?この差を。


1位と2位との差

SP  12.43(約11%)

フリー 18.05(約8%)


…………


シーズン終了後、そのシーズンのベストスコアだと、こうなります。


先ほどのと変化があった選手のみ。


SP

フェルナンデスさん・102.54

ボーヤンくん・98.45

宇野くん・92.99

無良さん・89.08


フリー

フェルナンデスさん・216.41

Pチャンさん・203.99

ボーヤンくん・191.38

無良さん・179.35


わかるでしょうか。


次のシーズンというわけじゃなくて、そのシーズンのGPFから世界選手権までで、ベストスコアが伸びている選手たちがいるんですが…


普通なら、ベストスコアが大きく伸びるのは、

①ジャンプ構成を高くした

②ミスしていたプログラムをノーミスできた

この2つが大きな要因だと思うんですよね。


羽生くんのベストスコアが一気に上がっていたのは、その2つの要因が重なっていたからなのだと思います。


その前のシーズンには、衝突のアクシデントや尿膜間遺残症の手術などがあり、ジャンプ構成を上げることを回避したんですよね。


そして、なかなかノーミスできなかった。


国別対抗戦でのオペラ座の怪人は、一見ノーミスですが、4Tの予定が3Tになって、ザヤック回避のためにコンビネーションジャンプも3A-3Tの予定を3A-2Tにしてます。


本来の構成でのノーミスがなかったシーズンでした。


それが、2015年のGPSカナダ大会でPチャンさんに負けて、NHK杯にはSPの構成を上げたんです〜


いやー、普通ならありませんから。(^_^;)


ノーミスできないプログラムの構成を高くするって…


けど、それでノーミスしたんです❣️


それが、SPの世界記録を101.45→106.33に押し上げたんですよね。


ただ、このときの4Sはかなり斜めになっていて、ヒヤッとしました。


それをGPFではパーフェクトにやったので、ここで110.95に世界記録を更新したんです。


要は、構成を上げる→パーフェクトなプログラムを実施するという2段階で、SPの世界記録を9.5点も上げたんですよね。


フリーはもっと劇的に、クワド2本の構成(でもなかなかノーミスできてなかった)→3本の構成でノーミスだったんですから。


そりゃもう、その破壊力ときたら、恐ろしいほどでした。


まして、GPFで、「羽生結弦はいつでもこのSP2本、フリー3本のクワド構成でノーミスできるんだぞ」というところを見せてしまったんですから、そこから先は…


羽生くんに匹敵する選手たちを作り上げようと、各国の陣営とISUとが必死になってしまうのもわかります。


それで、とった手段は、羽生くんのミス待ち&他の選手たちの得点を甘いめに、というあたりになっていったのだと思います。


そして当時は、ジュニア上がりのボーヤンくんには多種クワド持ちでもそんなに高い点数はついてません。


また、同じくジュニア上がりでしかもクワド1種類の宇野くんも、そこまで高い点数にはなってません。(ボーヤンくんよりはかなり甘いめに採点されていたけど)


高くなったのは主に、フェルナンデスさんとPチャンさんだったのではないでしょうか。


フェルナンデスさんのSPのベストスコアが上がったのは、クワド2本にしたからですよね?


けれど、ほぼノーミスだったGPFから世界選手権で、フリーが14.98点も上がる理由は何だったんでしょうか。


また、Pチャンさんのフリーも、ソチオリンピックシーズンの「Pチャンさんがノーミスだと誰も勝てない」と思わせるほどのものだった、それを…7.24もスコアを上げるには、何か明確な原因が思い当たらないとおかしいのではないでしょうか。


私にはそれは、宇野くんやボーヤンくんという、未知数の未熟な選手たちよりも確実に、実力と実績が既に評価されている、欧米の選手たちを羽生くんに対抗できる存在としてアピールしようとしたのだと思われました。


…………


でも、実際のところ、引き金を引いたのは日本のスケ連だったのではないでしょうか。


全日本選手権で、羽生くんがノーミスではなかったらガクンと点数が低くなりました。


これはつまり、「羽生結弦でもノーミスでなければ、ここまで点数を下げても日本スケ連は構わないと思っている」と世界に向けて発信したのではありませんか?


フェルナンデスさんのヨーロッパ選手権でのSPで100点超え、Pチャンさんの四大陸選手権でのフリーで200点超えは、そのあとにあったことです。


さらに、ボストン世界選手権のあとのチームチャレンジカップで、宇野くんの4Fを世界初成功と(無理にISUに?)認定させたんですよね?


つまりこれは、ボーヤンくんよりPCSで高い点数をもらっている宇野くんが2種類のクワド持ちになったことで、フェルナンデスさんやPチャンさんに続く「羽生結弦の対抗馬」の位置を宇野くんに与えることになった、それが日本スケ連の意志だと世界が知ったということになったのではないでしょうか。


…………


こういう、欧米勢が「羽生結弦一人勝ち」を阻止する動きを見せた、日本がそれに加担した、その次のシーズンにシニアデビューしたのがネイサンくんだった、という流れがあっての…


2016〜17シーズン、そして平昌オリンピックシーズンと続いたのだと思っています。


なので、平昌オリンピック後に採点がめちゃくちゃになったというのは、間違いではないけれど、それ以前にこういう経緯があったということを踏まえておかないと、何だかなあ〜と思ってしまうわけです。


羽生くんのスケートは上達する一方なのに、GOEは出し渋られてました。


それは2015年GPFのヒストリカルレコード330.43のあとからでしたし。


どれだけパーフェクトなパフォーマンスでも、そのときのPCSを上回ることはなかったと記憶してます。


なお、私の記憶はあてにならないので、間違っていたらご指摘くださいね。


また、記載ミスや計算ミスもあるかもしれませんので、それも…


(これからもう一度確かめておきます〜)


(それでもミスしているかもしれないので)


(結局最後は読者様頼りかーい)


読んでくださってありがとうございました。