羽生くんには「自分の本気で他者の本気を引き出す」能力があると思っています。
羽生くんのプログラムで会心の出来のものはいくつも思い当たるでしょう?
☆パリの散歩道
☆バラード第1番
☆SEIMEI
☆HOPE&LEGACY
☆OTONAL
☆LET ME ENTERTAIN YOU
☆天と地と
☆序奏とロンドカプリチオーソ
などなど…
でも、会心ではなくても渾身のものもたくさんあるんです。
☆ロミオとジュリエット
☆ノートルダムドパリ
☆オペラ座の怪人
☆LET'S GO CRAZY
☆ORIGIN
などなど…
そういう情熱こそが多くの人々を惹きつけるのではないでしょうか。
…………
人間、なかなか本気でものごとに取り組むことはできません。
自分がどの程度のものなのか、知るのは怖いでしょう?
平昌オリンピックのときにも羽生くんのフリー終了後、フェルナンデスさんと宇野くんの滑走が残っていましたよね。
あのとき、フェルナンデスさんも宇野くんもノーミスだったら、金メダルの行方はどうなっていたかわからなかったと思っています。
もちろん、羽生くんが金メダルだった可能性が高いんですけど、当時も採点がモゴモゴ(自粛)だったので、羽生くんより上位にしたい選手がノーミスなら(北京でやったみたいな)爆盛り採点で順位を操作されたかもしれないので。
実際のところ、本当にそれほどの出来だったか?はともかく、フリーの得点だけはネイサンくんのほうが上回ってましたから。
特に羽生くんは、後半4Tがリピートになってしまったのが得点としては痛かったから〜
フェルナンデスさんにしても宇野くんにしても、自己ベストなら金メダルが取れるかも?というときに、僅かでもこんなことが心に浮かばなかったかな…なんて。
「自分がパーフェクトにやっても、僅かなミスをした羽生結弦選手に敵わないかもしれない」
それって怖いでしょう?
自分の限界を見せつけられるんですから。
その怖さからちょっとしたミスを自分もしてしまった。
そんな可能性も(本人が自覚してなくても)あったんじゃないかな?なんて思いました。
…………
平昌オリンピック後、羽生くんには激辛の採点になったのも、勝たせたい選手たちのためというだけでなくて、羽生くんにそういう恐怖感を与える意図があったのだと推測してます。
羽生くんがパーフェクトにやって自己ベストを出しても、それを上回る得点を出せる選手がいるとしたら。
たとえその得点が不条理なものであっても、それは公式の記録として残るんですよね。
そんな、「何をどれだけ頑張っても、全力を尽くしても勝てない」(負けさせられる)状況で、どれだけ本気の力が出せるのか?
羽生くんがずっと直面していたのは、そういう難題だったと思っています。
それでなくても羽生くんは、喘息の持病がある上に、右足の靭帯に爆弾を抱えているようなものではなかったでしょうか。
何度も時差調整をしないといけないハードスケジュールだの、コーチの到着が遅れるアクシデントだの、水浸しのリンクだの…
足を引っ張ること&不公平な採点&自国のスケート連盟からの冷遇…
それでも羽生くんは何度も、会心のプログラム、渾身のスケートを見せてきてくれました。
そして、採点で羽生くんより優遇されている選手たちは、精神的に優位な状況でのびのびとやれるので…
思う存分、羽生くんに「本気を引き出される」ことになったんでしょうね。
だから、羽生くんの出場してる試合は、羽生くんがいるからというだけではなくて、羽生くんにポテンシャルを引き出された選手たちがいるので、「格が違う」と言われるようになったのかも。
…………
アイスショーでも、羽生くんに本気を引き出される形で自分のポテンシャルに気づいたスケーターさんたちもいたでしょうね。
そしてそれは、フィギュアスケートに関わる他の分野の方たちも。
写真家さんたち、音楽家さんたち、衣装デザイナーさん、照明スタッフさん、それぞれの専門家の方たちが最善を尽くすから、最高のものを創り上げることができた…
今年のFa O Iからは、そんなことを感じました。
(そして、羽生くんのいないアイスショーでは、本気を引き出されることのないままのスケーターさんたちばかりになっていたのなら、せっかくのポテンシャルがもったいないと思いますよ〜)
読んでくださってありがとうございました。