これはフィクションです。
…………
神その1「おーい、何を拗ねている?」
神その2「いったい、何度、天意を示せば人間たちは気づくんだ〜💢」
天使その1「今度はどれの話?戦争?テロ?感染症?原発?犯罪?政治の腐敗?権力者のエゴ?やだわ、人間たちのやる悪事って、数え上げたらどれだけ出てくるのよ?」
天使その2「あのねー、スケートの神さまはねー、今、氷上舞を奉納してくれるほどの芸術家に夢中なのよねー」
神その1「何だそれは、我も観てみたいぞ」
女神その1「あら、まだご覧になってないのですか?それはもったいない。素晴らしいと評判ですのに」
神その2「氷の上で滑りながら舞っているとは思えないほどの、優雅でありながらキレのある動き。難しいことをしていると感じさせないくらいの、自由自在なジャンプ。重力の桎梏をものともしない軽さと、天にまで届くような真摯な姿勢。ああ、あれを正当に評価しないとは…人間とは何故かくも愚かなのか」
天使その2「あのねー、人間たちはねー、あの人1人に賞賛と人気が集まっているからねー、それを横取りしようとしててねー」
女神その2「なんて愚かしいことを。賞賛だの人気だの、奪えるものではなかろうに」
神その1「他者の得たものを羨み、自分もそれを得たいと思う。それが何故、真っ当な努力に繋がらぬのだ」
神その2「それはまあ、あの者のしてきた努力が並大抵ではないどころではなく、20年以上かけて最高のものだけを積み重ねたからだろうな」
天使その1「そりゃ、それと同じレベルに到達しようと思ったら、真っ当な努力では20年以上かかるということだもの。人間の寿命から考えて、できないわよそんなこと」
新入りの神「せっかくあの者が、我が名を高めてくれたのに。世界歴代最高得点と、男子初の4連覇で。他の者になんぞ、タラレバの5連覇とか言うなー」
天使その2「グランプリファイナルの神さま、落ち着いてよねー」
女神その1「まさか、そのような理由で人間界を放り出してこられたのではありませんよね?」
新入りの神「知るかー、何だかよくわからない病原菌のせいだよ、我が身がしたことではないー」
泉の精「聞いてくださいな。下界でスケーターという人たちに、夢で例のものを見せて反応を確かめたのですが」
神その2「おお、どうだった?自分のものではないはずのメダルにも、手を伸ばした者はいたか?」
泉の精「それが、金のメダル、銀のメダルではあまりにもあからさまだと思い、彼らの大切なスケート靴で試してみたのですが」
女神その1「あの者は受け取らなかったでしょう?」
泉の精「たいていの者は、それは自分のものではないと返事したのですが、違う反応をした者が何人かおりまして、その中にあの者も入っております」
神その2「おや?そうなのか?」
泉の精「まず、Dはあれを貢がれたもののように受け取ろうとしました。Uは自分のものかどうかわからないという感じでした。Nはあれを買い取ろうとしました。Kは判断を父親に仰ごうとしました」
天使その1「それで、あの者は?」
泉の精「金のスケート靴を私に試すようにとおっしゃって…私にスケートを教えてくださって…
ずっとその手につかまって滑っていたくなりました…
」
女神その1、その2「スケートを教えてもらった?手につかまって?私もやりたかったのに〜」
神その1、その2「おや、2人して、どこに…」
その後しばらく、羽生くんは、女神様たちにスケートを教えるという夢ばかり見る日が続きましたとさ。
…………
神その1 あまりスケートのことを知らなかったということで、南米かアフリカあたりの神さまと思われる
神その2 スケートの神さま
女神その1 氷の女神さま
女神その2 勝利の女神さま
新入りの神 GPFの神さま
…………
先日の、泉の精の「金の、銀の…」の話ですが、スケート靴ではなくてメダルだったらと置き換えて読んでみてくださいね。(特に羽生くん以外のスケーター)
そして…
羽生くんが夢の中で手を取ってスケートを教えているのは、泉の精か、氷の女神さまか、勝利の女神さまか…
誰ですか、私も仲間入りしたいとおっしゃっているのは。
読んでくださってありがとうございました。