これはフィクションです。


たぶんそうです。


実在の人物に似ているかもしれませんが、気のせいでしょう。


…たぶん。


…………


初めての世界選手権で表彰台に上がり、一躍脚光を浴びた17歳の少年。


彼はその僅か1年前に、未曾有の災害に遭っていた。


「あの震災の被害を受けた東北から、よくぞここまで」


そう思う人も多かっただろう。


だが、それを苦々しく感じている人物もいた。


「自分のほうが順位は上だったのに」


その心はいつしか、その人物を応援してる人たちにも伝わっていく。


そしてその、人々が手を携えて復興に向かわなくてはならないときに、17歳の少年がその地のシンボルのようになるのではないかと危惧していった。


少年がその災害に遭わなかったというデマを流すこともあった。


少年が乗り越えてきた「逆境」があまりにも巨大な災害だったので、その劇的の度合いを薄めたかったのだ。


少年があの人物に勝利を収めたときに罵倒することもあった。


あの人物はそれをほくそ笑みながら聞いていたので、応援してる人たちもさらにエスカレートした。


だが、今のこの状況はどうだろう。


少年は瞬く間に青年になり、強く美しくその世界に君臨している。


まるで真夏の太陽が登っていくように、日ごとに満月に近づいている月のように、放つ輝きは増していく。


さらに、彼には膨大な人数の支援者がいた。


それを敵に回すのはまずいかもしれない。


今さらながらに、あの人物を応援する人たちは、それまでの自分たちの言動をなかったことのように言い立てた。


だが、あったことはなかったことにはならない。


嘘は100回言っても本当にはならない。


…………


これはフィクションです。


実在の人物とは関わりがありません。


読んでくださってありがとうございました。