しょうもない回想からで申し訳ないのですが。

私は子どもの頃から読書が好きでした。

小学校に入学したとき、もらった教科書を全部その日に読みました。

テストなども、満点を取れないということがあるのは何故なのか、わかりませんでした。

だから、なりたい理想の自分は、ずっとテストで満点を取るというものでした。

授業をしっかりと聞いて、憶えるべきことをちゃんと憶えて、考えて解けば全部できるものだと思っていたからです。

で、ご多聞にもれず、風邪をひいたりして学校を休むと、受けられなかった授業の分がわからなくなったり、暗記するべきものが全部は暗記しきれずに、徐々にテストの点数は下がっていったわけです。

でもまだ、小学生の頃は「ちょっとくらい休んでも取り返せる」と思ってましたけど…

中学生くらいになると、自分の限界が見えてくるんですよね。

憶えきれない、思い出せない、計算ミスする、勘違いする、考えた通りにはいかなくなるんです。

まあ、普通〜の子どもの辿る道と、たいして違わなかったのかもしれませんけど。

それでも憶えているのは、小学生の頃の万能感。

「自分は教えられたことは理解できるし、全部憶えることができたら満点が取れる」という感覚なんです。

でもこれが苦手なことになると、もう、荒唐無稽になるか、理解できなくて想像も追いつかないんですね。

一番苦手な体育だと、理想の自分は世界記録を出すんです…無理です‼️

美術関連だと、素晴らしいものを創り出して、賞賛される…どんなものなのか自分で想像もできないのに、どうやって?

まあ、ですからそんなふうに、自分の限界や現実を知って、理想の自分からはだんだんと遠ざかっていくわけですね。

…………

羽生くんが9歳の頃の自分という話をしていたとき、そういう、「自分は何にでもなれる、何でもできるようになる」と思っていた頃の自分、あの万能感を思い出したんです。

そして、私が妥協して、諦めて、現実を知って、手放していった子どもの頃の「理想の自分」をまだ追っているのって、凄いことだなぁと感心したとともに。

ちょっとツッコミ入れたくなったんですよね。

「羽生くん、それはひょっとして…23歳でオリンピック連覇したときには、アクセルを含むクワド全種類成功させて、GOEとPCSで(もしかしたら旧採点の技術点・芸術点で)全部満点の評価をもらうという想像してたんでしょ?」

というような。

実際、スケーターさんたちの多くは、自分が全てにおいてトップになるなんてことは、理想ではあっても無理だと思っているのではないでしょうか。

体操でいうなら、全種目で種目別金メダルを取るくらいのものです。

だいたい、高難度ジャンプを跳ぶようになると体が硬くなったり、柔らかい体では高難度ジャンプが跳べなかったりで、まずその両方をトップレベルで維持するのが困難です。

特に男子シングルの選手は。

どちらかに特化して、もう片方は何とか「トップに遅れをとらない程度に」できることを維持する…というのが精一杯なのではありませんか?

それを羽生くんは両方とも兼ね備えているのみならず、どちらもその完成度や見栄えで世界トップなんですから。

これまでのフィギュアスケート界では、たぶん、そういう理想とされてきた選手が何年もトップにいるということは、考えられなかったのでは?

まあ、だいたい競技年齢層から考えても、長年トップにい続けるというのが難しい上に。

オリンピックで金メダルを取ったら、引退する選手がわりといたんですから。

怪我のリスクもありますしね。

なのに羽生くんときたら。

オリンピック連覇しても、まだ、理想の自分を追い求めて。

4A成功まで目指しているんですから。

そもそも羽生くんは、高難度ジャンプを跳ぶだけではなくて、それをとことんまで高いクオリティでやるんですから。

さらに、スピン、ステップ、スケーティング、音楽表現と、どれか一つをとってもその質の高さはNo.1です。

しかも、オリンピック連覇したら勝ち逃げしてしまっても構わないのに、まだ現役でいるんですからw

…………

羽生くんが9歳の頃から追い求めていた、理想のスケート。

それは高難度に挑戦しながら、完成度も高く芸術性豊かなものなのでしょうね。

そしてそれは、フィギュアスケート界にとっても、本来なら待ち望んでいた理想のスケーターなんです。

しょうもない欲得や各国の思惑で、その価値がどれほどのものかをISUとジャッジが見失ったまま時間が過ぎるのは、あまりにももったいない。

何しろ、子どもの頃の自分が思い描く理想の自分というものは、可能性が無限大です。

そして、得た力でやりたいことは、自分の世界を良くすることです♪

医者になるなら、不治の病の治療法を見出すとか。

教育者になるなら、生徒たちが思い描く未来に進めるようにサポートするとか。

自分が生きようと決めた世界で、より良い未来のために役に立つ人間になることです。

羽生くんはオリンピック連覇して、被災地に希望の光を灯すという理想を一つ成し遂げようとしています。

次は、スケート界の未来を…………

どのようにしたいと思っているのでしょうね?

憶測と回想におつきあいいただき、ありがとうございました。