人間誰しも、長所と短所があるものだと思います。
私は、家族に対して腹が立つことがあると、まず相手の長所を思い浮かべます。それから自分の短所を考えます。
そうすると、「向こうもよく我慢してくれてるよなー」という気分になります。
それから自分の長所を考えます。
それで、「うん、でも、私も頑張っているよなー」となります。
気分が落ち着いたところで、相手にどう話せばしっかりと伝わるか考えます。
まあ、そこまで冷静になれずに感情的になってしまうときもありますけどね。
スポーツでは、長所を伸ばすことと短所を減らすことと、どちらに重心を置くのかは、競技によって違うでしょう。
また、その競技のトップを目指す子ども、学生、プロ選手、立場によっても違うでしょう。
もしもプロ、あるいはトップアスリートだとしたらの話ですが。
野球のようなチームスポーツで、ポジションが決まっているような競技なら。
長所を伸ばすほうが重要になるのでは?
打撃が苦手な投手が素振りを多くするより、バントだけしっかり決められるようにして、あとは投球を頑張る…というのは、ありだと思います。
体操だったら、ちょっと違ってきますよね。
団体、個人総合、種目別、何を目指すのか。
個人総合での頂点を狙うなら、短所(というか、苦手種目)を放置しておくわけにはいきません。
どの種目も足を引っ張ることがないように、苦手はなるべくなくさなければ。
種目別での頂点を目指し、また、団体戦でもその得意種目で貢献したいというのであれば、得意種目をどこまで伸ばせるかの勝負になりますよね。
個人総合での成績を考慮しないのであれば、苦手種目はほったらかしてもいいから、スペシャリストとして活躍できるよう得意種目を頑張るのでしょう。
フィギュアスケートだと、苦手なことを放置しておくとゆくゆく困ることになります。
トップで競うとき、いくら得意なもので点数を伸ばそうとしても、苦手なものが足を引っ張ります。そこは、体操の個人総合と同じでしょう。
GPS中国大会での宮原知子選手を見て、その成長ぶりにしみじみしてました。
ソチ五輪の翌シーズンの全日本で優勝して以来、ずっと日本女子を引っ張ってきた頑張り屋さんです。
しかも、その頑張りというか、努力してきたことが…
苦手とか、課題とかに真正面から向き合い、地道に積み上げてきたのだと思いました。
ジャンプの回転不足、フリップのエッジエラー、これにはまだ取り組んでいるのでしょう。
それでも、3F-2T-2Loを入れてました。
得意なルッツのあとにつけても構わないコンビネーションですよね?
そのほうが、精神的にも楽だろうし。
でも、逃げなかった。
真摯に取り組んでいます。
書いてて、涙が出てきました。
その上、あの表現力です。
課題は表現などと言われていたのに、何年もかけてそれもここまで磨き上げてきたのかと…
苦手から逃げない。
その頑張りが、他の日本女子のお手本になっていればいいなと思います。
翻って、男子…
羽生くんが現役のうちに、その姿勢を見習って欲しいのですが。
どうも、ジャンプが不調になると、「表現を頑張ります」とか言っている選手がいるのはどうなんでしょう?
不調のジャンプにしっかり向き合わないと、ずるずると落ちてしまいそうなのですが。
それを本人は、わかっているのでしょうか?
トップの選手ほど、一度落ちはじめたら戻りにくいんです。
それは、つい、得意なことで何とかしようと思ってしまうからなのでは?
でも、トップまで行った選手の得意は、伸ばしても天井が見えているんです。
表現力に定評のあるスケーターが、ジャンプで不調になったら。
取り組むべきなのはジャンプなのでは?
そこで、もっと表現をなどと言っても、そちらの伸びしろがどのくらいあるものなのか…
苦手なことから目を背けているから、ずるずると落ちちゃうのかもしれませんね。
誰しも、苦手なことはやりたくないんです。
でも、それを頑張っている選手を応援したくなるんです。
もっとも、できていないことをできたことにしてもらっていたのなら、余計に、その苦手からは逃げたくなるかもしれませんね。
読んでくださった方がいらっしゃるなら。
ありがとうございました。