これはフィクションです。





彼は、自分の力を増幅できる音曲を奏でられる人物を見つけることができた。
彼とともに浄化してくれるだろうか。

あの、彼を敵対視するモノたちを。

彼の評判を落とそうと、事実から掛け離れた捏造記事を出したモノ。
彼の弱みを握ろうと、周囲を見張って盗撮したモノ。
彼を応援する人たちを揶揄して、その数を減らそうとしたモノ。

これまではそのモノたちの画策は、成功したように見えても最終的にには徒労に終わっている。

だが、爆発的に増えた彼の支援者たちを狙って、その威力を削ごうとする動きがまた見えてきた。

彼の支援者たちが持つ力。
彼にまつわることにかける経済力も、情報伝達力もそのモノたちにとっては垂涎ものだが。
手に入れようにも、支援者たちの彼への想いが強くて、他に向けられなかったのだ。

ならば、雲散霧消させれば良い。
彼の力を増幅させる支援者など、いないようにさせたい。

そのモノたちはまた蠢き出していた。

彼はそれを知っていた。
だから、支援者とは別に、彼の力を増幅させる音曲を奏でられる人物を捜していたのだ。

彼に本気で向き合ってくれる人物。
彼と最善を尽くしてくれる人物。
そして彼の力を引き出してくれる人物だ。

勝敗を決める場の雰囲気ほどの応援の心は、彼に向けられないかもしれない。
だが、支援者たちが彼の想いに同調すれば、その地を浄化することはできるだろう。

支援者たち、彼の味方の援護を得て。

彼は氷上で浄化の力を放った。

情熱的な音曲に乗せて、激情で不浄のモノを薙ぎ払い焼き尽くして。
浄化の水晶の力を解き放つ。

さらに残った不浄のモノを焼き尽くす。
何度も行う浄化に、彼は消耗した。

しかも、あのモノたちは彼の浄化の力を削ぐために、また映像を中継しなかったのだ。

中継された映像を通じてでも、彼に注がれる応援の力を封じるために。

しかも今度は、最終日の映像を放送しないようにしていた。
よほど、彼の想いを伝えるものを出したくないのだろう。

ふと、彼は笑みを浮かべた。

想定内のことだ、それは。

中継されないことも。
映像が封じ込められることも。

しかし、見た支援者たちがいるのだ。

彼から感じた浄化を仲間うちで伝えるだろう。

そしてそれは伝説になる。
いや、もう、それは神話の域に達するかもしれない。
それこそが、彼の力をさらに高めるだろう。

だが、まだあのモノたちは残っている。
あとどれくらい浄化に時間がかかるだろうか。

彼の闘いを見守る支援者たちにも、そのモノたちの蠢きが見え始めた。







これはフィクションです。


天地人
氷上の奉納舞

この二つの続編という位置づけになります。

読んでくださった方がいらっしゃるなら。

ありがとうこざいました。