権力を手に入れたいと望むとき、その人物はどこまで、その権力を持つことへの責任について考えているのでしょうか。

上昇志向の人は、組織の中で自分の昇進を目指します。そのこと自体は、当然だと思います。しかし、昇進後に付随する「自分が統率する人たち」への責任を軽く考えている人が多いように感じます。

組織の中では、上司の考え方に部下が染まることは多いのではありませんか?

上司が「他の企業もやっていることだから、こちらもやればいい」と言えば、贈賄することへの心理的な壁が低くなります。

上司が「有給取るなんて、とんでもない」と言えば、有給取得した部下への風当たりが強くなるでしょう。

上司が「セクハラなんて言うもんじゃない、コミュニケーションだ」と言えば、ボディタッチくらいで目くじらを立てるなという風潮が蔓延するでしょう。

上司になった人は、及ぼす影響の範囲が広いのです。上司が、法律に、倫理に、常識に悖る言動をすると、それに倣った部下が必ず出てきます。そのとき、その「上司と同じようなことをした」部下への責任は、取れるのでしょうか?

いやー、どう考えても、そんな、「部下のしたことまで責任取れる」ような上司なら、最初からお手本になるような言動をしますよね。

「そんなことで責任なんて取らないよ」というような上司が、部下への影響も考えずにやっているのでしょう。

もっと悪ければ、部下に汚れ仕事を押し付けて、自分は知らん顔して責任も押し付け〜

とか。

世の中には、責任逃れして「うまくやった」ように考える人がいるみたいですが。

信用されるのは、自分の責任を取れる人です。

尊敬されるのは、自分が統率する人たちへの責任を負う覚悟のある人です。

もっと多くの尊敬を得るのは、自分の目の行き届かない範囲の人への責任まで考える人です。

この場合の責任とは、土下座するとか、辞職するとか、果ては自殺するとかいうようなことではありません。

真実を突き止めて、説明することです。
真実が明らかになれば、誰が何に対して責任を取るべきなのか、(法律で定められている範囲なら)ある程度明確になります。

昨日、仙台の一日乗車券つきのポストカードが届きました。(FaO Iに夢中で、まだあまり見てない…もったいない)

転売が問題になって、数多く用意してくださったのですよね?
それで今度は、余っているとか。

その転売について、羽生結弦選手が市長に謝罪したことがあったのでは?
あのとき、私は、「そんな、ファンのすることまで責任を取らなくてもいいのに」と思ったのですが。

よく考えてみると、「自身の言葉が及ぼす影響の範囲を考えて、ファンが転売屋撲滅のために動いてくれる」ことを望んでのことでもあるのかなと。
そしてやはり、広い範囲への責任を負う覚悟を持つ羽生くんを尊敬するのです。

そういえば。

世界選手権のときに、氷が溶けるくらいに会場の気温が高くなったとか。
国際試合なのに、英語での案内が不十分だったとか。
スモールメダルセレモニーを観覧したい観客を長時間待たせたとか。
プレゼントボックスに入れた、ファンからスケーターへのプレゼントやファンレターが紛失したとか。

その数々の不手際の責任は、どなたが取ったのですか?
真相究明中ですか?
紛失したものに対して盗難届けは出したのですか?

責任逃れして「うまくやった」と思っているなら、大間違いですからね。

誰も取らないなら、最高権力者の責任です。
最高権力者は、最高責任者だからそれだけの権力を手にしているのですから。

読んでくださった方がいらっしゃるなら。

ありがとうこざいました。