全聾の転載作曲家が紡ぐ「闇の音」
もし、現代に天才と呼べる芸術家がいるとすれば
その一人は、まちがいなく佐村河内守さんだろう。
命をすりへらしながら創るその音楽は
私の乾いた心を打たずにはおかない・・・・中略
本の帯に寄せられた五木寛之氏の言葉から引用
『命をすりへらしながら』
まさしくその言葉がぴったりの壮絶としかいいようのない内容に
読んでいて胸が苦しくなる感覚を覚えながら
何故? 何故そこまで・・・・
年齢は私よりひとつ年下の佐村川内氏
私と同じ世代の人間がここまでの苦難の中を
現実に生きているのだろうか?
途中からそんな思いばかりが湧いてくるなかで
いっきに読み終えた本でした。
プチログさん に貸して頂いてから
時間が経ってしまい、そろそろお返ししなきゃ
そんな感じで読み始めた私でしたが
えっ? 現実にこんな母子関係ってあるの?
子供(4歳~)に容赦ない厳しさでピアノを教える母親の姿は
まるで映画がドラマのようなテンポで綴られて
どんどん引き込まれながら
いつ耳が聞こえなくってしまうだろう?と思っていると
そこからは、私のような凡人には耐えることなど
とても想像すらできない苦難が
容赦なくこれでもかこれでもかと襲ってくる
途中で、自分だったら壊れてしまうだろう
なぜこの人は自殺しなかっただろう?
そんな思いが湧いてくるなかで読み進む中
明らかにされる2度の自殺
心が壊れてしまい精神科治療をうけ
耳が聞こえないという障害と精神的な病となった中での葛藤
今まで見たことのある映画やドラマのシーンでも
ここまでのすさまじい映像はみたことがない
なぜか本の中で語られるシーンが映像になって湧いてきて
初めから最後まで一本の映画のような
不思議な感覚で読み終えた私でした。
これは、想像でも脚色されたものでもなく
現実に生きている人=佐村河内氏の生の姿なのです。
プチログさん から「感動する本よ!」ってお借りしてから
なかなかその1ページを開くことのなかった私だけど
この数日の自分を思い返しながら
今ここでいっきに読み終えたことに意味が
あったのかもしれない
本のページが少なくなっていくのと同時に
そんなことを思っていました。
どんな状況でも
死ねないうちは生きていくしかないということ
生きている・生かされている間は
ちゃんと生きて行かなきゃいけないってことを
示してくれた・・・・そんな気がしています。
その内容にページをめくるのが
しんどくなる人もいるかもしれない
けれど今の私にとっては
ありがたい一冊の記憶に残る本でした。
機会があれば、是非演奏会も聴きたいと
ひそかに願っています。
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