交響曲第一番(佐村河内 守著) | いつかのいい日のために 

いつかのいい日のために 

2008年10月、卵巣癌という気づきのチャンスを与えられてから3年
今、たくさんのキャンサーギフト(癌からの贈り物)を貰っていたことに感謝しています。
これからは【まんまるっこ天使】に手伝ってもらいながら返謝の気持ちを伝えていこうと思います 2012.3

全聾の転載作曲家が紡ぐ「闇の音」


もし、現代に天才と呼べる芸術家がいるとすれば

その一人は、まちがいなく佐村河内守さんだろう。

命をすりへらしながら創るその音楽は

私の乾いた心を打たずにはおかない・・・・中略


本の帯に寄せられた五木寛之氏の言葉から引用


『命をすりへらしながら』


まさしくその言葉がぴったりの壮絶としかいいようのない内容に


読んでいて胸が苦しくなる感覚を覚えながら


何故? 何故そこまで・・・・


年齢は私よりひとつ年下の佐村川内氏


私と同じ世代の人間がここまでの苦難の中を


現実に生きているのだろうか?


途中からそんな思いばかりが湧いてくるなかで


いっきに読み終えた本でした。


プチログさん に貸して頂いてから


時間が経ってしまい、そろそろお返ししなきゃ


そんな感じで読み始めた私でしたが


えっ? 現実にこんな母子関係ってあるの?


子供(4歳~)に容赦ない厳しさでピアノを教える母親の姿は


まるで映画がドラマのようなテンポで綴られて


どんどん引き込まれながら


いつ耳が聞こえなくってしまうだろう?と思っていると


そこからは、私のような凡人には耐えることなど


とても想像すらできない苦難が


容赦なくこれでもかこれでもかと襲ってくる


途中で、自分だったら壊れてしまうだろう


なぜこの人は自殺しなかっただろう?


そんな思いが湧いてくるなかで読み進む中


明らかにされる2度の自殺


心が壊れてしまい精神科治療をうけ


耳が聞こえないという障害と精神的な病となった中での葛藤


今まで見たことのある映画やドラマのシーンでも


ここまでのすさまじい映像はみたことがない


なぜか本の中で語られるシーンが映像になって湧いてきて


初めから最後まで一本の映画のような


不思議な感覚で読み終えた私でした。


これは、想像でも脚色されたものでもなく


現実に生きている人=佐村河内氏の生の姿なのです。


プチログさん  から「感動する本よ!」ってお借りしてから


なかなかその1ページを開くことのなかった私だけど


この数日の自分を思い返しながら


今ここでいっきに読み終えたことに意味が


あったのかもしれない


本のページが少なくなっていくのと同時に


そんなことを思っていました。


どんな状況でも


死ねないうちは生きていくしかないということ


生きている・生かされている間は


ちゃんと生きて行かなきゃいけないってことを


示してくれた・・・・そんな気がしています。


その内容にページをめくるのが


しんどくなる人もいるかもしれない


けれど今の私にとっては


ありがたい一冊の記憶に残る本でした。


機会があれば、是非演奏会も聴きたいと


ひそかに願っています。



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