DEATHROLL「計算された美しさと暴虐性」| インタビュー
2026年5月20日
Rock Attitude Team
「計算された美しさと暴虐性——それこそが、このアルバムで私が目指した方向性でした」
このRock Attitudeのインタビューでは、DEATHROLLが『A Woman Collapsing on the Glacier』の持つ暗く凍てついた世界観、美と暴虐性の均衡、そして“生々しさ”“実存的表現”“視覚的物語性”について語っている。
Q. DEATHROLLは常に闇を抱えてきましたが、『A Woman Collapsing on the Glacier』はほとんど息苦しいほど感情的に重い作品に感じられます。過去作より制作は困難でしたか?
Kazu:
制作作業そのものの大変さは、以前の作品とそこまで変わらなかったと思います。
ただ、自分自身の音楽的知識が広がっていく中で、このアルバムの世界観は自然に生まれてきました。
Q. 新作は攻撃性と壊れそうな美しさが共存しています。暴力性と脆さのコントラストは意識していますか?
Kazu:
もちろんです。
“計算された美しさと暴虐性”、それが今回のアルバムで私が目指した方向性でした。
Q. “氷河”というイメージは、凍った時間や感情麻痺のような感覚を与えます。自然から影響を受けましたか?
Kazu:
はい。
凍えるような質感、冷たく荒涼とした空気感を感じられる音楽を作りたかったのです。
Q. 現代ブラックメタルは過剰に磨き込まれた作品も多いですが、DEATHROLLは有機的で冷たいサウンドを保っています。生々しさは重要ですか?
Kazu:
過度な装飾は、極端に磨き込まれたメタルサウンドと結びついていることが多いです。
ですが私は、人間的な癖や不完全さ、時には未熟なミスさえ含め、アーティスト本人が強い意志を持って作り演奏することこそ重要だと考えています。
Q. アルバムには催眠的な反復リフが多くあります。反復は感情的トランス状態へ導く手法ですか?
Kazu:
歌詞が日本語であることもあり、一部のリスナーにはより催眠的に聴こえるのかもしれません。
ですが、それも含めて“これがDEATHROLLの音楽なのだ”と受け取ってもらえればと思っています。
その上で、聴き手が自由に感じてくれれば嬉しいです。
Q. 日本のアーティストは、西洋ブラックメタルとは異なる形で闇を表現しているように見えます。文化背景は影響していますか?
Kazu:
もちろんです。
日本は基本的に無宗教国家です。
西洋ではキリスト教が道徳的基盤の一部として歴史的に存在してきました。
今回、逆十字を掲げた理由も、“個人の判断で行動する個性”を象徴したかったからです。
Q. “Hymn of the Extinction” は終末的です。どんな思想がありましたか?
Kazu:
ドラマティックでメロディックな曲ですが、同時に感情へ直接訴えかける絶望も表現しています。
日本語詞なので理解できないリスナーも多いと思いますが、最後の一節は、
「運命は彼に死を告げる」
という内容です。
その言葉を深く考え、それぞれの解釈を見つけてもらえたら嬉しいですね。
Q. シューマンの再解釈は非常に異色でした。他に再解釈したいクラシック作曲家は?
Kazu:
ベートーヴェンの『月光ソナタ』は特に第三楽章が有名ですが、私は第一楽章にも強く惹かれています。
いつか、自分なりに再解釈してみたいですね。
Q. 今作はタイトルとアートワークの結びつきが非常に強いです。視覚表現は重要ですか?
Kazu:
以前はそこまで重視していませんでした。
ですが今回は非常に重要でした。
実際、このアルバムではアートワークそのものを起点としてメイン楽曲を作曲しています。
Q. 多くのブラックメタルが悪魔主義や神秘主義を扱う一方、DEATHROLLは心理的・実存的です。なぜですか?
Kazu:
特に日本人にとって、そうしたテーマは実感として理解しにくい場合があります。
だから私は、日本人でも感情的に理解しやすい“闇”を表現したいと思っています。
Q. この強烈なアルバムの後、DEATHROLLはどこへ向かいますか?
Kazu:
DEATHROLLを、本当に独創的なバンドとして確立したいです。

