
日本の国民的ドリンク、ポカリスエットがアメリカで大ブレイク中
日本の「飲む点滴」とも称されるポカリスエットが、今、アメリカで大きな注目を集めている。きっかけは、大手会員制倉庫型店舗Costco(コストコ)での特別販売だ。これがSNSで瞬く間に拡散され、大きな話題となった。
Costco発、熱狂の渦
カリフォルニア州サリナスのあるCostcoで、ポカリスエットが12本入り16.49ドルという破格の値段で登場した。YouTubeやTikTokでこの日本のドリンクの評判を目にしていた多くの人々が店舗に殺到。その人気ぶりは、一種の社会現象のようだ。
「アジアのゲータレード」と称されることもあるが、多くの消費者はその味を高く評価している。アメリカのスポーツドリンクに比べて甘すぎず、ほのかに塩味を感じる爽やかなグレープフルーツのような風味が、彼らの心を掴んだのだ。特に、運動後や体調を崩した際の水分補給において、他のどの電解質ドリンクよりも優れていると感じる声が多い。
「本物」を求める声と入手の壁
この熱狂の一方で、価格と入手性が大きな課題となっている。Costcoでの販売は例外的で、通常はアジア系スーパーマーケットで1本5ドル前後と高価だ。そのため、アメリカ全土での安定供給を望む声が後を絶たない。
さらに、熱心なファンの間では「味の違い」も議論の的だ。日本国内で製造されるものと、インドネシアやベトナムで製造される輸出向けのものでは、風味が微妙に異なるとの指摘がある。より「本物」に近い味を求め、粉末タイプを選ぶ人もいるという。
スポーツドリンクの枠を超えた存在
ポカリスエットの評価は、単なるスポーツドリンクにとどまらない。食中毒や病気、ひどい脱水症状から救われたという体験談が数多く共有されている。固形物を受け付けられないような極限状態でも、身体に水分と電解質を補給してくれる「命の水」として、絶大な信頼を得ているのだ。
日本の日常に溶け込んでいるドリンクが、遠く離れたアメリカの地でこれほどまでに求められている。その背景には、味や機能性だけでなく、健康への意識の高まりや、異文化への強い関心があるのかもしれない。このブームが、一過性のものに終わるのか、それともアメリカの生活に根付いていくのか、今後の動向から目が離せない。