前節最年少ハットトリックを達成した中島翔哉のおかげで、何ヶ月ぶりかというくらいの快勝だった。監督が変わって、中々勝利という結果がついてこなかったヴェルディにやっと勢いがつくんじゃないかという勝利だっただけに、この徳島戦で一気にノっていきたいところだったけど・・・。
結果は1-2の敗戦。
2失点を喫したのは前半の不出来から。
徳島の3トップに対し、ただブロックを作るだけのお粗末なヴェルディDF陣。だれもボールホルダーにチェイスにいかないので好き勝手パスを繋がれた。正直2失点で済んで良かったってレベル。快勝の次の試合は、毎回こんな展開になる気がする。どうにも勢いよりも安定を重視しようとする、ヴェルディの悪い伝統だ。
何度も何度も思うことなのだが、ヴェルディは守備も攻撃も自分たちから仕掛けることでリズムを作っていく手法がチーム理念なのに、しょっちゅうこの「自分たちから仕掛ける」という部分が欠落する。これを勝とうが負けようが愚直に信じ、繰り返せないことにはヴェルディの目指すべきサッカーは安定して出来ないと僕は思っている。
「落ち着い」てはダメなのだ。
だからこそ、後半の中島翔哉と前田のような「自分から仕掛ける」「自分が決めてやる」という気持ちのある選手が入ると、チームが活性化される。基本的にサッカーにおいて、攻撃時に自分から仕掛けないと解りきっている選手には怖さがない。悪いときのヴェルディは、それが顕著にでる。トラップも常に後ろだし、ドリブルやパスも横や後ろばかりになる。今日の前半はその典型的なパターン。トラップひとつから勝負する気配を見せなければ、ただパスを回すだけになるのだ。
後半になってだいぶ前がかりになったのは、0-2で負けていて追いつくために開き直ったのがいい部分として出たというのがあったと思う。西が前のほうに残ってバイタルエリアでフラフラし出したので、相手DFラインが捕まえ切れなかったという作戦勝ち的な部分もあったと思うが、一番はやはり中後が入ってアグレッシブにチェイシングに行き出したことが奏功したと思う。中盤でプレッシャーがかかれば相手がミスすることも多くなるし、何より連動してDFラインが入ってきたボールや人に対してアタックしやすくなる。それでやっと守備の安定性が出始めて、攻撃時も前に行きやすくなったのだと思う。
後半は翔哉を中心に怒涛の攻めを見せたけど、この後半の出来を基本スケールとしていってほしいところ。翔哉が持つと必ず勝負に行く。相手DFはなかなか飛び込めなくなる。そうなると狭い局面でのパスも繋がりやすくなる。正にヴェルディがやりたいサッカーを体現できていた。それといつになく前線に顔を出したのが中後。ボランチの位置から追い越していくことでダイナミズムが生まれた。もっともっとこういうシーンが見たい。
次は下手すると前田が先発もあり得る。
そう思わせるくらい翔哉と前田には仕掛ける気持ちがあったし、ボールもよく追っていた。
残り2試合に必要なのは勝利のみ。
今必要なのは勝ちにこだわれる、点を獲りに行けるメンタルを持った選手だと思う。
バランスをとることも重要だろうが、今必要なのは何事も他人任せにしないことじゃなかろうか。
今シーズンのヴェルディは得点のほとんどを阿部ちゃんに任せっきりにしていた。
そのツケが今きているのだと思う。
今こそ、オレがやってやるんだという強い気持ちを全員が持ってもらいたい。
多少無理やりでも、シュートを撃つべきときには撃たないと。