「いいかげん前半と後半で内容がガラっと変わっちゃうのなんとか
してほしいよねー」
昨日の試合が終わった瞬間、前に居た女性が口にしていた言葉だ。
ここ数節、相手が下位グループになったことも勿論影響して
いるが、大黒、林の2トップに一様のメドがたち、ようやく攻撃
の形が出てきた感のあるヴェルディ。
岐阜戦こそ低調な放り込みのみに終始し、無得点に終わった
ものの、草津戦、熊本戦、横浜FC戦とどちらもゴールのシーン
だけを思い浮かべても理想的な得点の奪い方をみせていて、
前半で早くも2点リードという試合が増えてきている。
着実に得点力はアップしていると言っていいだろう。
だが2点をリードした後、急にDFラインが下がりはじめたり、
ボールを見てしまって相手にリズムを与えてしまい、その後
後半はグズグズの展開で終始攻め込まれるといった内容が
非常に多くなってきている。
昨日の試合のマッチリポートなどを見ても、何れもその部分が
指摘されているし、監督、選手のコメントでもその部分が目立つ。
明らかに今、ヴェルディの一番大きな課題だ。
この部分が何故出てしまうのかというのは、試合後の選手や
監督のコメントを見ればすぐにわかる。
<高木監督>
「後半のゲーム運び、もしくは2-0になった状況の中でもう少しゲームをコントロールするというところを、チーム全体として考えていかなければ、攻め急ぐ、そして前に前に行ってしまう。その中で攻め疲れしてしまうというケースもあるので」
<林>
「どうしても受身になってしまって、間延びしてしまいます。前半拾えていたセカンドボールも後半は拾えなくなってしまったので、運動量という部分も大事」
<晃誠>
「リードしてからどうしても間延びしてしまうので、全体でコンパクトにしていかなければいけない。」
<滝澤>
「リードしてからの戦い方、90分間を通しての試合運びに、チームとしても僕個人としても課題が出ました。」
高木監督は、2点リードした場面では無理に攻めずに落ち
着いていきたいようだ。しかし選手の思惑は一定でなく、その
あたりの意思疎通が選手全体に行き渡っていないことを
物語るコメントばかりが目に付く。
林などは数試合同じコメントを残していて、リードした場面で
落ち着こうとするあまり、運動量が少なくなって間延びする
と断言している。
僕もこの林の見解に同意したい。
高木監督は攻め疲れによる運動量の低下を常に指摘して
きているのだが、ヴェルディがボールを回されるのは決まっ
て2点リードしてからか後半開始からだ。
後半開始から動けない選手などはプロで通用するはずも
なく、そんな選手ばかりでないことは明白。
だったらやり方が上手くいっていないということになる。
僕もこれまで散々指摘してきたが、現状のチーム状況で
落ち着こうとする=(イコール)気持ちが受身になる
となってしまい、前半出来ていたDFにおいてのチャレンジが
出来なくなってしまい、ボールウォッチャーになり始める。
それによってDFラインが下がり始め、吸収されるように
ボランチも下がる為にセカンドボールが拾えなくなるのだ。
勿論高木監督がやりたいこともわかる。
要はラインを保ちながらボールをゆっくり回すことで時間と
相手の苛立ちを誘い、ミスをつこうというのだろうが、それは
王者の戦い方だ。
いきなりそんなことが出来るチームならば今頃は優勝争い
を繰り広げているというもの。それは絶対的な自信がなけ
れば機能しない戦い方だろう。
残念ながら、現状認識の点だけで言えば林の言うように、
勢いを持続して3点目を一気に奪いに行く戦い方に徹した
ほうがいいと僕は思う。
ここ数試合監督自身も、ハーフタイムコメントで3点目を
獲りに行こうと言っている。落ち着いきながら、攻め急がず
3点目を取りに行くなんてことが出来るのなら、苦労はない。
高木監督はスカパーでの中継の試合後コメントで、何故
こうなってしまうのか、原因を突き止めて修正していかな
ければならないと言っている。
是非その修正を早急に進めて欲しい。
怖いのは、バウルがフル出場できるようになったらそれ
だけで逃げ切ってしまえるようになることも大いに考え
られるので、この問題が解決されないまま風化してしまう
ことだ。
バウルが出られない試合でこの症状が出たらお話に
ならないのだから。