ベッカムが加入したミラン、大方の予想を裏切り、
ものすごくいい状態でフォットしましたね。
なぜなのか、自分なりに思ったことをつらちらと。
まずミランはシェフチェンコがチェルシーに移籍後、
代役として期待されたジラルディーノが長らくフィット
せず、選手の入れ替わりの少なさも相まって緩やか
にチーム力が落ちてきていました。
今シーズンこそ、ロナウジーニョを獲得してそこそこ
の成績を残してはいますが、試合内容はあまり良く
なっているとは言えない状況が続いていました。
そこに電撃加入したベッカムが、徐々にチームを良い
方向に回し始めています。
まずこれまでの布陣。
パト
(ボッリエッロ)
ロナウジーニョ カカ
(セードルフ)
アンブロジーニ ガットゥーゾ
ピルロ (フラミニ)
ヤンクロフスキ ザンブロッタ
カラーゼ マルディーニ
アビアーティ
注目してほしいのはアタッカー陣。
全員が足元で貰いたがる上に左サイドに寄りやすい選手
ばかりです。これによって左サイド偏重となり、昔良かった
時期のようなワイドな攻撃やピルロのピンポイントパスを
生かしたカウンターなどは影を潜め、何か窮屈そうな試合
ばかりになっていたと思います。
そしてベッカム加入後の布陣。
パト
(ボッリエッロ)
カカ セードルフ
(ロナウジーニョ)
アンブロジーニ ベッカム
ピルロ
ヤンクロフスキ ザンブロッタ
カラーゼ マルディーニ
アビアーティ
まず、大きな変化は中盤での組み立てがピルロ1から
ピルロ+ベッカムの2になったこと。これによってまず活きた
のがザンブロッタ。左偏重で足元ばかりの頃は窮屈そうに
していたのが、中盤の組み立てが右サイドでもできるように
なったことで早めの攻撃参加が可能になった。
そしてベッカム+ザンブロッタが右で組み立てることが出来
るようになったことで、左右のバランスが相当良くなった。
これがベッカム加入後、大きく変わった部分でしょう。
第2に、今までこの布陣は、ピルロを抑えればボールの供給
源がなくなってしまっていた。それがベッカムと両方で出来る
ようになったことでピルロの負担が減り、相手もマークすべき
相手が分散したことで的を絞りづらくなった。
ここも大きなポイントだと思います。
第3に、最も懸念されていたのはこのミランシステム、配給
役のピルロをアンカーの位置に置いた3ボランチシステム
は両翼ボランチの守備力と運動量に支えられて初めて可能
になることから、テクニシャンのベッカムではどうなんだ、
というのが大方の予想だったと思います。
増してベッカムはクロサー。ボランチの位置で使うだけでは
レアルマドリーにいた頃のようにベッカムの良さが消えてしま
うのではないか。そんな予想もあったと思います。
しかし実際は、レアルで経験したことでボランチとしても成長
していたこと。それと素晴らしいポジショニングと運動量で
全く違和感を感じさせない守備を見せていると思います。
とにかくその運動量には目を見張るものがあります。
そしてもう1点。
前線ではまだ左偏重の組み立てが多いのはいいとして、
左を突破してあげたクロスにベッカムが走りこめるということ。
これが本当に大きい。
自由なポジショニングをとるセードルフと走りこむベッカムが
いい相乗効果を生んで、前線に厚みをもたらしていると思う。
右サイドが上がり目になることでザンブロッタの位置も高く
なり、ボールが逆サイドに抜けてもフォローできる体制になっ
ていることも大きい。
列挙してきましたが、これだけの相乗効果があるのでは
ないかと思います。
早くもミランは、選手、監督、フロント全てからベッカムを
このまま残したいという旨のコメントが出てきています。
面白くないのは怪我で戦線離脱中で同ポジションのガッ
トゥーゾくらいかもしれません(笑)
ベッカムが来ることに難色を示していたようですしね。
今後、ベッカム効果はまだまだ表れていくでしょう。
そんな勢いを感じますし、ACミランというビッグクラブに、
何シーズンかぶりに追い風が吹いているように感じます。
正直、僕はもうこのミランシステムは終わったと思っていた
だけに(凄い好きなシステムだったのですがね)、ベッカム
一人でこんなにも変わるのかというくらいに僕の目には
映っています。
今後が楽しみですし、なんとしてでもベッカムをこのまま
ミランに残すべき。正直まだ欧州の舞台から消えるには
惜しい存在ですからね。