ここ数年、着実に大型選手の補強を果たし、今年はその集大成を思わせ

るような大型補強を慣行した浦和レッズ。遂には高原をも射止め、

戦力的にはJで頭何個分か抜けた印象があります。


高原の加入によって、今年もここ数年の路線を継続していくのは明白。

ワシントンや小野など、その戦術を担っていた(いるからこそせざるを

えなかった)選手たちが離脱することによって、昔のハーフカウンター

サッカーに戻してくるものかと思っていたのですが、高原加入によって

それは無くなったと思います。


もうレッズはここ数年のタイトル獲得で味を占めてしまったので、その

サイクルから抜け出すのは容易ではないでしょう。今のやり方を繋げ

ていくには毎年日本代表レギュラークラスの補強を慣行していく必要

があると思います。

それが出来るのはJ唯一の金満クラブである浦和だけ。

それが是か非かは置いておいて、そういうことが出来るのは羨ましい

ことです。


とはいえ、僕は今の浦和がそこに走ってくれることはある意味他チーム

からしたら「しめしめ」という部分も持ち合わせていると思います。


浦和のやろうとしていることは、云わば日本のインテル。

個人戦術を巨大戦力で補い、個々の実力差で勝っていくというもの。

しかしここ数年、ユーベの降格処分とミランの選手・戦術固定による

劣化が生んだ産物であるスクデット獲得ということを除けば、常に3強

と言われつつ、戦力的にはNo.1と言われつつ結果が残せなかった

インテル。これが何を物語っているかは言わずもがなというもの。


レッズは元々カウンターサッカーというチームイメージがあります。

実際印象として、結果の残しきれなかったエメルソンがいた時代が、

僕はレッズのサッカーでは一番怖かった。

今のレッズのサッカーは、勝負強さだけで勝っているように見えて、

なんとなしにレッズが勝つよね、という風にしか見えない。

マリノスが3冠を獲った時に似ている印象です。


もしレッズが本気で原点回帰を今の戦力・メンタル・軍資金で取り組ん

だとしたら…恐らく一時代どころか今後も「レッズのサッカー」という

イメージとトラウマを植えつけるには十分な成果を挙げられるハズ。

それが巨大戦力の充実、というメンタルに頼ったサッカーで目先の

結果を重視してくれることは、圧倒的戦力差を活かしきれないものに

なることを秘めていると思います。


僕はもったいないとは思いますが、しかしそれは結果を残している

チームにとって簡単には変えがたいもの。仕方ないのかもしれません。


だからこそ浦和は大型補強をしている。それが唯一今の地位を守る

手段だからです。恐らく来期も同じでしょう。よほど当たり監督を

引かない限りは、現状から脱却するのは難しいかもしれない。

結果が出ている以上は。



さて、長々レッズについて触れたのは、昨年J2における我々ヴェル

ディの戦い方が正にそれだったからであります。

云わば長い前フリです。


もちろんヴェルディはレッズがとるような大型補強は出来ない。

そしてヴェルディでの個の象徴、フッキ無き後ではなお更、その個で

打開する方法も難しくなってくる。これではジリ貧は目に見えて

います。いや、むしろ僕はフッキが仮にいたとしても、あのままの

戦法でJ1でどれくらい通用するのかという不安もありました。


それはフッキがJ1で通用するかという疑問ではないです。必ず

通用すると断言できますが、そうではなく、フッキを入れた場合の

戦法はやはりフッキに大きく偏った戦い方になりがちだったという

こと。それが不安だったのです。

フッキも徐々に周りを信用していって、完全なワンマンさはだいぶ

影を潜めたものの、それはチームが勝ち続けていたからという部分も

大いにあったと思います。

J1においてあれほどの連勝は難しいでしょうから、カリカリしてきた

フッキがワンマンに走るかもしれないのは懸念材料であったハズ。


そしてJ2残り2試合、フッキ出場停止で欠いた試合展開はどうだった

でしょうか? フッキがいないことで自分がやらねばならないという

思いが皆に伝わり、攻めの形自体はフッキがいるときより出来ていた

と僕は思っています。

4-5-1はフッキのための戦術、という人もいますが、僕はむしろ

あの戦術はチームのための戦術であり、それを司るディエゴのため

の戦術であったと思っています。なのでフッキがいようがいまいが、

4-5-1は十分有効な、ヴェルディに合った戦法だと思っています。


さて、結局何が言いたいのかというと、フッキがいようがいまいが、

全員がフッキがいない時の意識でやらねば、ヴェルディは一歩上に

は行けないだろうということです。

一人に頼ったサッカーは、エジムンドの時で懲りているハズ。

ヴェルディが今期やらなければならないのは、個に依存したサッカー

を改めること。それは哲さんの手腕に大きくかかっているとは思い

ます。


ヴェルディはレッズのようなチームを作るにはお金が無さ過ぎる。

それにJ1で勝てるというメンタリティがあって初めてそれがチームと

して成されるわけであって、ある程度の結果を残した上で慣行しな

ければ、いくらお金をかけても名古屋のような感じで終わるだけだと

思います。

またヴェルディが登っていくためには、やはり一つの形を作らなければ

ならないでしょう。


僕は現在の4-5-1でそれを目指すのが、今年では一番難易度が

低いような気がします。

哲さんには何とかチームとしての形をいち早く作ってもらいたい。


最高なのはフッキが戻ってきて、全員がフッキのいない時の力を、

我を出せれば…というところなのですが、夢のまた夢ですね。

色々クリアしなければいけない問題がありますし。